マイ補聴器、はじめました
4月12日。
ついに侑也の「マイ補聴器」を受け取りに行く日がやってきた。
「侑ちゃん、今日から自分専用の補聴器だぞ。どんなのかな?楽しみだなぁ」
車の中でそう話しかけると、侑也はいつも以上にご機嫌だった。
動いている車が好きなのもあるが、今日はなんとなく “良いことがある” と分かっているように見えた。
支援施設に到着すると、いつもの個室へ案内される。
ほどなくして先生が現れ、手には待ちに待った補聴器が。
「侑也くん、補聴器できましたよ。さっそく調整していきましょうね」
楽器を使った聴こえの検査をしながら、微調整が始まる。
その後、妻と侑也は検査室へ。大人一人分のスペースしかないらしく、僕は廊下で待つことになった。
しばらくして戻ってきた侑也の耳には、ついに“自分だけの補聴器”。
再び楽器検査が始まるが、音への反応が明らかに良い。
先生も頷きながら言った。
「今回の補聴器に合わせて、少し調整を加えています。反応はとても良いですね。生活の中で聴こえていそうな音、反応が鈍い音があればメモしておいてください」
新しい宿題をもらった。
──つまり、「よく見てあげてください」ということだろう。
帰りの車内、侑也はキラキラした目で外を眺め続けていた。
聞こえる世界が、またひとつ広がったのだ。
その横顔を見ながら、僕たちも同じように胸が温かくなった。




