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小さな足跡の記録  作者: こう
再出発

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春の散歩の後で

3月の終わり。

家の近くの土手の桜が、ちょうど満開を迎えていた。


僕たち家族はよくその道を散歩する。

侑也をベビーカーに乗せ、ゆっくりと話しながら歩く時間が好きだ。

薄いピンクの桜が連なり、まるで道そのものが明るく照らされているように感じられる。


「侑ちゃん、きれいだね〜」


声をかけると、侑也はいつものようにキョロキョロ。

川には花筏が流れ、淡いピンクの絨毯のように広がっていた。


ふと思い立って、隣町の観音様まで家族でドライブすることにした。

遠すぎず近すぎず、家族でのんびり出かけるにはちょうどいい距離だ。


到着すると、高くそびえる観音様の前で写真を撮る。

緊張したのか、妻はなぜか直立不動で「気をつけ」の姿勢。

「もうちょっとリラックスして。笑顔くださーい」

思わずカメラマンみたいな声が出てしまった。

観音様が大きすぎて、写真に入れようとしたらずいぶんと妻と侑也が小さくなってしまった。帰ってから見せてビックリさせてやろう。きっと

「何よコレ〜、私たちの表情わかんないじゃん」

と笑ってくれるだろう。今から楽しみだ。


桜の下や公園でも写真を撮り、何気ないけれど楽しい時間を過ごした。

撮った写真は帰宅前に妻にバレてしまったが、それも含めて良い思い出だ。


夜、侑也と一緒にお風呂に入る。


「今日も楽しかったな。あれは“桜”って言うんだぞ。

ほら、さ・く・ら」


話しかけても返ってくるのは「あ〜、あ〜」。

まだ早いのは分かっているが、いつか必ず言葉になると信じて、毎日こうして話しかけ続けている。


──その時だった。


急に侑也の体がガクガクと震え始め、

黒目がふっと上へ上がっていき、白目のまま固まった。


痙攣だ。


「侑也!!」


すぐにお風呂から妻を呼びつけ、救急車を要請した。


楽しかった一日の終わりに、

突然訪れた出来事だった。

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