再入院の夜
退院して、まだ一ヶ月ほど。
その侑也が、また入院することになった。
入院初日と翌日は熱がなかなか下がらず、ほとんど眠ったまま。
妻と荷物を病室へ運び終え、ベッドを覗き込むと──
あの、いつも元気に転がり回る侑也が、ぐったりと動かない。
点滴、モニター、体中の管。
その姿を見ただけで胸が詰まった。
もっと早く気づけていれば。
最初に受診したとき、もっと強く検査を求めていれば……。
そんな“たられば”が頭に押し寄せるが、
現実は目の前に眠る侑也だけだった。
ただ、早く元気になれと祈るしかなかった。
■3日目
熱も下がり、少し動きが戻ってきた。
声も出すようになり、横向きに寝返りを打てるほど。
笑顔が戻った瞬間、胸の奥で固まっていたものがようやく溶けた。
最近生え始めた歯が気になるのか、口元に手をよく当てる。
おもちゃも指も咥えなかった侑也が、口に興味を持ち始めた。
──逆流さえ落ち着けば、この子はきっと食べられる。
小さな仕草が、そんな希望を抱かせてくれた。
■4日目
もうベッドを横に使うほど元気だ。
柵から足だけを出して、冷たさを楽しんでいる。
小さな足がこちら向きにぴょこんと飛び出す。
その足の裏を、ついコチョコチョとくすぐってみる。
「なにするんだ〜!」
と言わんばかりに体をよじらせる侑也。
こういう反応があるだけで「もう大丈夫だ」と思えてしまう。
絶食も終わり、注入も再開。
今回の入院は、短く済むかもしれない──
そんな希望がようやく持てた。
妻は今回も付き添いだ。
やっと落ち着いたと思った矢先の再入院。
「もう慣れたよ」
と笑って言うが、本当は無理をしているに決まっている。
僕にできるのは、
ただ早く退院できるよう祈ることだけ。
妻を残して、
また真っ暗な我が家へと帰っていく。




