ゆっくり慣れていこうな
正月休みも終わり、平日を取り戻した頃。
侑也は定期の通院で病院へ。
診察を受け、先生と退院後の生活について話をする。
注入のリズムに合わせて生活がうまく回っていること、
訪問看護師さんが来てくれて助かっていることを報告した。
そして注入量の相談。
やはり、増やすのは怖いという判断は先生も同じだった。
「いつまでも今の量で、というわけにもいかないけれど、今焦って増やす必要もないでしょう。もう少し体の成長を待ちましょう。」
そう言われ、納得する。
自分で食べられない分、せめてお腹いっぱいにしてやりたい。
でも、また吐くのは怖い。
「今はこれだけで我慢しような」
そう声をかけるが、侑也は知らん顔で指の研究に夢中だった。
人の気も知らずに……とは思うが、
その熱心な姿を見ていると、
僕の悩みなんて本当にちっぽけに思えてくる。
その後に受けたリハビリでは、寝返りと寝返り返りを披露。
先生にも上手にできていると褒められ、なぜか僕がドヤ顔になっていた。
「胸の下に丸めたタオルなんかを入れてあげて、
四つんばいの姿勢を覚えていきましょう。
ただし、お腹を圧迫しすぎないように注意してくださいね。
それと、支えてあげてのお座りは好きそうですが、
反り返りが強いですね。体を丸めるようにストレッチしてあげてください」
リハビリの先生から新しい課題が出された。
家に帰って、さっそく試してみる。
タオルを丸めて胸の下に入れ、両手をつかせて体を支える姿勢。
ぐっと力を入れて……できた!
あとはこのままキープ——無理だった。
すぐに手を離して平泳ぎが始まってしまう。
「ゆっくり慣れていこうな」
自分に言い聞かせるように侑也に語りかけた。
焦っているのは僕だ。
ゆっくりいこう、ゆっくりと。
次にお座りの練習。
まだ支えが必要でグラグラしているし、
急に反り返ってくる。
力も強くなってきて、結構痛い。
体を丸めるストレッチも試してみるが、
お腹を圧迫する形になるため、長時間はできない。
吐いたり、管が抜けたりしたら元も子もない。
こちらも焦らず、じっくりだ。
お座りや四つんばいの練習の間、
侑也はいつもニコニコしている。
きっと遊び感覚なのかもしれない。
努力を遊びながらできるこの子は、
きっといつかできるようになる。
——そう思わせてくれる笑顔を、
今日もこちらに向けてくれる。




