握るもの
侑也は“握れるもの”が大好きだ。
鈴のブドウもそうだが、やはり一番気になるのは——自分に繋がっている管。
気がつけば、いつもそれを持って遊んでいる。
長めの管ではあるので、少々触っても余裕はある。
けれど、抜けてしまう危険もある。
かといって、「触っちゃダメ」はまだ通じない。
どうしようかと悩んだあげく、使い古して交換した管を渡してみた。
「つながってるのはやめて、こっちで遊びなさい。好きに遊んでいいから」
そう言うと、侑也はギュッと握りしめ、
両手で引っ張ったり、ブンブン振り回したり。
あっという間にお気に入りのおもちゃになってしまった。
危うく「クリスマスプレゼントはこれでいいかも」と
甘えた発想が頭をよぎったが、慌てて打ち消した。
侑也はいつも元気いっぱいに遊んでは、電池が切れたように
その場でストンと寝てしまう。
この日も、急に動かなくなったと思ったら——スヤスヤと寝息を立てていた。
よく見ると、手には管を握ったまま。
「よっぽど気に入ったんだな」と微笑みながら近づくと……
握っていたのは、栄養剤が流れている“本物”の管だった!
「これはいかん」とそっと手から外す。
使い古しを与えたはいいが、どっちを持っているのか区別がつかない。
早まったかな? と少し後悔したが、
侑也が楽しそうなので——「ま、いっか」となった。




