変化
病気と手術の説明を受けた翌日、僕は会社で上司との個人面談を行った。
手術日に休ませてもらうこと、そして昨日聞いた説明を伝えておこうと思ったのだ。
人に説明するのは、自分が聞くよりはるかに難しい。
まず、きちんと理解していなければならない。
自分にとっても初めて聞く病名だった。
もらったプリントを見せながらの、たどたどしい説明になってしまったと思う。
けれどその時間が、「受け入れ難い現実」を自分の中で少しずつ整理していく過程になっていた。
上司からは「手術の日はもちろん休んでいい。今後も何かあれば子どもを優先しなさい」と言われた。
その言葉に、胸の中でひとつ区切りがついた気がした。
夕方、病院へ向かう。
病室に入ると、妻の顔には疲労が滲んでいた。
この一か月、彼女はほとんど病院に付きっきりだ。
たまに交代して家に帰らせても、
「朝起きてまた病院に来るのがつらい。ここにいたほうが落ち着く」
そう言って最近はほとんど帰っていない。
そこへきて昨日の病名報告だ。無理もない。
一方、侑也は変わらない。
ベッドの上でこちらを見つめ、コロコロと転がりながら足を柵から出そうとしている。
やはり彼にとってベッドは“寝る場所”ではなく“遊ぶ場所”なのだ。
侑也は変わらない。
変わったのは僕たちのほうだ。
漠然とした不安が「病名」という形を持った瞬間、
それが絶望に変わってしまっただけ。
でも、侑也は侑也だ。
誰かと比べる必要なんてない。
検診のとき、自分でそう思ったはずだ。
侑也の笑顔が、その時の気持ちを思い出させてくれる。
「侑也は変わらない。
僕たちも、特別な目で見ることなく“侑也本人”を見つめていこう。」
そう妻と話し合い、病院を後にした。
手術の日はもうすぐだ。
この手術で、侑也の苦しみがひとつでも減ることを祈りながら——。




