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小さな足跡の記録  作者: こう
再入院 明らかになる病

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選ぶべきは 〜後編〜

僕達が持ち帰った課題は、あまりに大きな話だった。

侑也の今後の人生を左右する。だが、じっくり考える時間はない。今この瞬間にも、管が抜けてもおかしくはないのだ。

病院と家、別々の場所で連絡を取り合いながら、何度も話し合った。


まずは一つずつ問題を整理する。


胃瘻いろう──お腹に穴を開けて、そこから管を入れる。

顔はスッキリするだろうし、侑也の嫌がる鼻を触る必要もなくなる。将来的に食べられるようになった暁には、塞ぐこともできるらしい。悪い話ではない。


噴門形成術──胃の入り口を縛る。それも、元に戻せないほどきつく縛るという話だった。

そうすれば逆流は防げるかもしれない。でも、逆に食道からも物が通らない。水のような液体か、ミキサーしたものを少量なら通せるかもしれないが、「あまりお勧めはしない」と先生は言った。


先生も、侑也の将来と現状を秤にかけての提案なのだろう。

誤嚥性肺炎を防ぐためには、逆流を止めるしかない。

でも逆流を止めるために縛ってしまえば、口から食べる楽しみを奪うことになる。

しかしやらなければ、誤嚥性肺炎のリスクが常につきまとう。

今この瞬間にも、また発症するかもしれない。

……でも、「食事」が。


しつこいくらい同じ話を、何度も何度も頭の中で、そして妻と繰り返した。


そして、僕たちは一つの結論を出した。


その結論を先生に伝えると、手術の説明も兼ねて「ご夫婦揃って別室へお願いします」と言われた。

何やら神妙な顔だ。何かまた問題でもあったのだろうか。


別室にて待っていると、外来時の主治医と入院時の担当の先生が揃って入ってきた。

二人が揃って話すのは初めてだった。

今までとは明らかに違う、重たい空気が漂っている。


主治医が口を開いた。


「侑也くんの体の異常についてのお話です。吐いたり、泌尿器への異常、心臓、胃など、内臓に関するさまざまな状態を鑑みた結果、この病気ではないかと思われます」


一枚のA4用紙が差し出された。

そこに書かれていた名前は──


コルネリア・デ・ランゲ症候群。


見たことも、聞いたこともない名前だった。

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