映し出された現実
入院して三日目、侑也は本調子を取り戻しつつあった。
一生懸命に体を動かしては九十度回転し、ベッドの柵から足を出して遊んでいる。まるで、
「こっちのほうが広く使えまーす!」
とでも言っているようだった。
枕はこっちだよと戻してやっても、すぐに元の体勢へ。どうやら、この向きが落ち着くらしい。僕たちはとうとう諦めた。
四日目、血液検査のために採血があった。
生まれつき血管の細い侑也は何度も刺し直されたが、大泣きすることもなく、じっと耐えていた。
この日、咳き込んだり、吸引の際に吐くことがあったため、三日間の絶食を言い渡されてしまう。
そして九日目――九月二十日。
侑也の体の中で、食べたものや飲んだものがどう動くのかを見るため、造影剤を使った検査が行われた。
僕が仕事帰りに病院へ行くと、妻とともに検査結果の映像を見せてもらえた。
胃に入った液体が、何の抵抗もなくスルスルと食道を逆流していく。
そのまま口の中へ戻り、気管へと流れ込んでいく様子に、僕はただ唖然とするしかなかった。
「ご覧の通り、かなり強い胃食道逆流があります。そして不思議なことに、気道へ流れ込んでも咳反射がなかったんです。これでは誤嚥しても分かりませんし、また肺炎を繰り返すことになるでしょう」
先生の説明はさらに続いた。
「食道と胃をつなぐ“噴門”という部分が、うまく機能していないようです。今は鼻から胃まで管を入れていますが、さらに先の十二指腸まで通しましょう。そうすれば逆流を防げると思います」
“どうやってそんなことを?”と思ったが、先生たちには技術も経験もある。
ただ、もし抜けてしまったときには、僕たちにはどうすることもできない。再び病院に来るしかない。
その覚悟をしながら、説明を黙って聞いた。
撮影をしながらの挿入は「テレビ室」と呼ばれる場所で行われた。
最初はうまくいかず、様子を見ながら自然に十二指腸のほうへ流れていくのを待つことになった。
「侑ちゃん、もう絶対抜いちゃダメだよ。抜いたら大変なことになるからね」
そう声をかけてから、また誰もいない我が家へと帰った。




