付き添い入院の始まり
緊急入院の翌日、昼過ぎ。
侑也はなんとか集中治療室を出て、一般病棟へと移ることができた。
まだ目を閉じたままで、元気に動き回っていた頃とは別人のようだ。
胸の上下動だけが、かろうじて「生きている」という証のように見えた。
先生がやって来て、静かに説明を始める。
「誤嚥性肺炎だと思われます。よく吐くという話を聞いていましたが、おそらくは胃から上がってきたものが口の中にたまり、それが気管へと流れ込んだのでしょう。まずは体調の回復を優先します。その後、造影剤を使って誤嚥があるかどうか検査しましょう」
その言葉を聞いて、ほんの少し肩の力が抜けた。
次の検査の話が出るということは、命の危機を脱しつつあるということ。
回復に向かっている。そう思えるだけで、胸の奥が少し温かくなった。
元気になりさえすれば、またあの笑顔に会えるはずだ。
先生が去ると、僕たちは入院の準備に取りかかった。
なにせ、昨夜は慌てて家を出てきてしまった。
侑也の着替え以外、ほとんど何も持ってきていない。
病棟の看護師さんから「入院の手引き」を受け取り、必要なものを確認する。
今回は妻の付き添い入院もあるため、妻の荷物も用意しなければならない。
頭の中で思いつく限りのものをメモに書き出し、急いで帰宅した。
帰りの車中で、妻から電話が入る。
「ごめん、あれも必要だった!」
そんなやり取りを繰り返しながら、病院と家を三往復。
やっと侑也のもとに戻れたときには、もう外はすっかり暗くなっていた。
ベッドのそばに立ち、眠る侑也の顔を見つめる。
「侑ちゃん……ごめんな。今まで苦しかったんだよな。気づいてやれなくて、本当にごめんよ」
額にそっと手を当てると、熱は落ち着いている。




