震える一夜 〜夜明け〜
集中治療室へと入ってしまった侑也。
面会制限があり中に入ることはできなかったが、担当の先生から中の様子を聞くことができた。
現在は薬で痙攣と熱を抑えながら眠っていること。
呼吸がかなり苦しそうなので、鼻から酸素を送る装置を使っていること。
点滴を刺そうとしたが血管が細く、なかなか刺さらなかったこと。
それでもなんとか処置を終え、今は落ち着いているという。
当然、このまま入院となった。
集中治療室にいる間は自由に面会もできないため、一度家に戻ることにした。
夜中に帰り着いた家は、僕たちの心を映すように静まり返っていた。
リビングで妻と向き合いながら話す。
誤嚥性肺炎……やはり、毎日のように吐いていたのが原因だったのか。
今までなんともなかったのに。
「慢性肺炎」——少しずつ進行していたのだろう。
そんな会話をしていたと思う。
いつ病院から電話が鳴るか分からない恐れとともに、長い夜を過ごした。
そして朝。
面会できる時間を待って、再び病院へ向かった。
夜のうちに連絡はなかった。それだけで少し救われた気がした。
「まだ予断は許さないが、峠は越えたようです」
そう先生から聞いた瞬間、胸の奥の力が抜けた。
ベッドの上の侑也は、たくさんの管に繋がれたまま静かに眠っていた。
モニターから聞こえる一定の電子音だけが、「生きている」ことを教えてくれる。
「侑ちゃん……よく頑張ったな。今はゆっくり休め」
それだけを、そっと伝えた。
このまま落ち着けば、昼過ぎには一般病棟に移れるという。
その時からは付き添いが必要になり、妻が泊まり込みで看病することが決まった。




