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小さな足跡の記録  作者: こう
日々の暮らしの中で

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22/40

小さな安心

「最近、また吐く量が増えたみたい」

そう心配する妻。確かに連日、鼻から口からドバっと吐くことが多い。

ミルクが多いのではないか? 他になにかあるのか?

そう考え出すと止まらないので、モヤモヤ悩むくらいなら受診して相談しよう――と、医療センターへ向かった。


管の件では「もう頼らん」と決めたが、それ以外は別だ。

むしろ受診することで改善できることがあるなら、積極的に通うことにしている。

プライドより侑也優先。

これも覚悟の一つだ。


病院では馴染みの看護師さんたちが侑也を見つけ、声をかけてくれる。

「侑也くん久しぶり〜!今日はどうしたの?」

「よく吐くから心配になって……」

そんな話を妻としている間も、侑也はニコニコしながら挨拶しているようだった。


診察室で主治医の先生に相談すると、聴診器でお腹の音を聞いている。

「どうもお腹の中に空気やガスが溜まって、腸への流れが悪くなって上へ帰ってきてるようですね。浣腸してみましょう。お家でも定期的にしてあげてください」


なるほど。下が詰まっているから上へ来てしまうのか。

妙に納得できた。

お腹を“の”の字に押すマッサージ方法や浣腸のやり方を学び、親子ともどもスッキリした顔で帰宅した。


夕方、夜のミルクの最中、やっぱり吐いてしまったが、吐く量は減っていた。

「浣腸効果かな?」

少し安心したように夫婦で話していた。


「吐く」──その事実は変わっていないのに、

その夜はそれ以上、深く考えることはなかった。


けれど、あの小さな「安心」が、

後に長い夏を呼ぶことになるとは、まだ誰も知らなかった。

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