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小さな足跡の記録  作者: こう
日々の暮らしの中で

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19/44

クリスマスの餅つき

12月25日。ちょうどクリスマスの日に侑也は家に来て初めての外出をした。行き先は、僕の実家だ。距離にしておよそ3kmほど。たいした遠出じゃない。でも、侑也にとっては大冒険だ。3週間ぶりに外に出ると、北風吹きすさぶ真冬の気温だ。僕は、一足先に実家へと向かっていた。今日は親戚ご近所集まって、実家の庭で餅つきをする。その準備の為早めに行く事にし、侑也と妻は後からゆっくり来るようにした。


侑也が到着した頃、すでに餅つきは始まっており既に何臼かついたあとだった。

ベタン ベタン――。

リズミカルに聞こえて来る音は侑也にもしっかり聞こえているようで、音にビックリしたのか泣き出してしまった。少し見たあと、祖母が

「外は寒かろう。こっち入っといで」

と侑也と妻を家の中へ招き入れてくれた。


来客の方々への顔見せ程度はできた。と思っていたら、やはり鼻から伸びている管の事で質問される。

「生まれつき飲むのが下手なので、管からミルクをあげてるんです」

簡単に説明すると、来客の1人が

「うちの子もミルク飲むのが下手くそでな。その上アレルギーもあって食うものに困ったもんよ。

でも、見てみ。こんなに大きくなっとる。食えるようになったら早いもんよ」

と、見た目中学生くらいの子を紹介してくれた。

侑也もきっと、今を乗り越えていけたらそうなるんだろうな。そんな希望を与えてもらえた。


家の中で侑也は音にビックリしながらも手遊びをしている。

妻曰く「指の研究をしている」らしい。

研究成果の発表を心待ちにしていますよ。侑也君!


その日は夕方まで餅つきを続け、ヘトヘトになりながら帰宅した。

実家でミルクをあげた時にちょっと吐き戻しもあったがおおむね問題なく過ごせたようだ。


侑也の頬は、寒さで少し赤く染まっていた。

けれどその笑顔は、まるで春のようにあたたかかった。

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