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小さな足跡の記録  作者: こう
日々の暮らしの中で

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侑也との日常

侑也が退院して連れて帰った日、我が家は大騒動だった。まずはミルクをあげようと思っても、よく考えたらイリゲーター(経管栄養ボトル)をぶら下げておくものがない。病院では点滴台があったが、我が家にはそんなものはない。ずっと持って置くのもしんどいし、どうしようか悩んだあげく思いついたのが室内用物干し台だった。1番上にS字フックを引っ掛け吊るすことにした。これが今後の侑也の基本スタイルとなる。


ミルクをゆっくり滴下していると、退院を聞きつけた両家の祖父母、妻の妹弟たちが次から次へと駆けつけて来た。狭いアパートに大勢が押しかけ、てんやわんやだ。当の侑也はミルクの時間も終わりスヤスヤと寝息をたてている。みんなは動いている姿が見たかったのだろうが、思う通りにならないのが我が家の侑也君なのだ。


みんなが帰ったあと、静かに目を覚ました侑也は、何事もなかったかのように枕元に置いておいたおもちゃで遊んでいた。

「大物になりそうだな」

素直にそう思った。


しかし、夕方のミルクの注入後、飲んだ量を全て吐き出してしまった。何が起きたのか解らず大慌て。抱きしめて背中をトントンと落ち着かせると、いつの間にか寝てしまった。吐いたことで濡れてしまったチューブ固定用のテープを貼り替え様子を見る。

「看護師さんも、夜中に吐くことがあるって言ってたし、もしかしたら注入速度が速かったのかもしれないね」

妻はそう話すが、吐いた姿を見て本当にそんなものか?と少し心配になった。


退院してから2日目の夜、侑也の様子を見にベビーベッドへ近づくと、恐るべき光景が待っていた。

なんと、侑也が鼻から入っていたはずのチューブを持って振り回して遊んでいるのだ!

これはまずい!

すぐに妻を呼び、事態を説明した。2日目にして侑也を連れ帰る大変さを痛感することになる。

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