第6話「はじめての村に入れない!?」
2章も引き続きよろしくお願いします。
森を抜けて半日ほど歩くと、小さな村が見えてきた。素朴な木造の家々、煙の上がる煙突、人の声。ようやく文明にたどり着けた安心感がこみ上げる。
「よし、とりあえず情報収集と宿探しだな」
しかし、村の入口で警備の男に止められた。
「見慣れん顔だな。身分証かギルドカードは?」
「いや、それが……転生したてで何も……」
「ふざけてるのか? ステータスを見せろ」
面倒くさいけど拒否するわけにもいかず、渋々ウィンドウを開く。しかし、次の瞬間——
「うわっ!? な、なんだこの……!」
ステータス画面を見た警備員が顔面蒼白になった。
【攻撃力:ERROR】【魔力:NaN】【スキル:暴走モード(未解放)】などの表記が並び、見るからに“ヤバい奴”としか思われない内容。
「お、お前……まさか魔王軍の尖兵か何かか!? 村長ーっ!!」
「ええっ!? なんでそうなる!?」
騒ぎが広がり、あれよあれよという間に村から追い返される羽目に。結局、俺は村に入れず、入り口の外で野宿することに。
「くっそ、バグってるせいで人権がない……」
だが、その夜、村の近くで魔物の影が現れる。
「……あれ、村が襲われる!? よし、やるしかないか」
こうして、俺は正体を隠したまま“謎の救世主”として魔物を退治することになる。
そのとき——村の高台の屋敷から、じっとこちらを見つめる少女の視線を感じた。
淡い金髪に、透き通るようなまなざし。その姿はすぐに闇に消えたが、なぜか胸に引っかかる。
——あれが、後に出会うエリナだったのかもしれない。