9 偽りの自分とホントの自分 カイル編
最終話に向けて、更新頑張ります!!
どうか応援よろしくお願いします!
「カイル様。あなたに伝えたいことがあります。」
そう言ってきた彼女の瞳は凛としていて美しかった。
恐ろしいほどに。
そしていつもは温厚そうな彼女の表情は、怯えるような表情に変わり、僕は何かを感じ取った。
偽物の僕は、ホントの僕の感情を押し殺して言った。
「君から誘うなんて珍しいね。 どうしたの?」
あどけない声と表情は、偽物の僕の得意分野だ。
そうやって孤児院から抜け出して来たのだから。
すると彼女は続けて言った。
「私はあなたの全てを知っています。
どうか……どうか私にあなたの口から話してくれませんか」
ビリビリッと雷に打たれたかのような衝撃を受けた。
まさか…まさか初めから知っていたというのか?
なんで…
出かかった本音を勢いよく飲み込んだ。
長い沈黙の末、僕はこう口にした。
「なぜ、君は知っているの?」
(全て?君みたいな幸せいっぱいの顔をしたヤツに僕の何が分かるんだ)
僕が言葉を放った時、ホントの僕が裏でそういった。
その後、彼女は僕に信じられない話をしてきた。
転生?前世の記憶がある?
訳が分からない
でも、自然とその事実を受け止めることが出来た。
彼女は、僕の事を愛していると言った。
呆れた。馬鹿らしかった。
「違うでしょ、エリーゼ。
君が好きなのは今君の前にいる僕じゃない。
記憶の中の思い出の中にいる僕だ。」
ホントの自分が表に出て初めて言葉を放った。
ちょっぴり驚いた。
でも、自分が心から伝えたいことだった。
「そんなことない!!私は、偽りの笑顔を見せるカイル様も、あなたの心の裏で泣いているであろう本当のカイル様もどちらも好きですわ。」
春風が吹いた。
そんな気がした。
優しさに触れて、温かくなった。
心臓らへんがむず痒くて変な感じがした。
「カイル様。私を殺しても構いません。
今日まで1人で辛いことを抱え込ませてしまって申し訳ありません。頑張りましたね。」
カイルの透き通るような真っ白な肌から1粒の雫がこぼれ落ちた。
みなさんお気づきですか?実は心を許していなかった頃、カイルはエリーゼのことを彼女、こいつ呼びしてるんです!




