8 愛されたい カイル編
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この結婚にはじめから愛なんてなかった。
僕は、婚約者を殺すための道具で彼女はその対象でしか無かった。
彼女に対して好きとか嫌いとかそういう感情はほぼ無に近かった。
幼い頃から孤児院に入れられ、自分を拾ってくれた相手は僕を暗殺の道具としか考えていない偽善者共。
愛なんて無縁の人生だった。
彼女も同じだと思ってた。
どうやら特別な治癒魔法を使えるらしく、多くの人から命を狙われていると。
周りから良い目で見ては貰えない。
彼女も影で同じ境遇で生きてきたのだろうか。
そう思っていた。
けど違った。
あの人は、辛い現実それ以上に周囲の人の愛情を受け取っていた。
僕とは違って、明るい太陽の下で眩しいくらいの笑顔を向けていた。
憎かった。愚かだった。
自分と同じだと思っていたのに!!
僕がこいつの暗殺者で良かった。
そう思った。
彼女はどうやら偽物の僕のことが好きらしかった。
馬鹿で随分と間抜けだ。
彼女を殺すのは簡単だ。
僕が彼女を殺してきたら偽善者共は僕の事を愛してくれるだろうか。
そんなことを思っていた時もあった。
そんな訳ないのに。
彼女が羨ましい。
僕の知らない愛を知っている。
誰かの言葉を真っ直ぐに受け取れる。
そうやってずっとずっと彼女への憎しみをため続けてきた。
彼女との思い出を添えて。
別に彼女のことが嫌いって訳じゃなかった。
憎いだけ。
上品に微笑む姿も心から笑った顔も見たらなんだか心がぽかぽかするし、悪くないなって思った。
だけど僕は暗殺者で、君は僕に殺される相手だから。
そんな感情持っていいはずがないんだ。
そう思っていたある日。
君から真剣な顔で伝えられた。
「カイル様。あなたに伝えたいことがあります。」
続編ありです!!




