7 同じ境遇
おまたせです!
「カイル様。あなたに伝えたいことがあります。」
そう言うと、カイル様はちょっぴり目を見開いて、あどけない表情を見せた。
「君から誘うなんて珍しいね。どうしたの?」
「私はあなたの全てを知っています。
どうか……どうか私にあなたの口から話してくれませんか?」
エリーゼの声はかすかに震えていた。
怖い。もし、受け入れて貰えずに前世と同じ道を歩んでしまったら…
「なんで」
そう口を開きかけたカイル様は急いで口を閉じた。
エリーゼはただひたすらに彼の言葉を待った。
(大丈夫。大丈夫。きっと全てうまくいく)
そう願って。
沈黙は彼らの時間を撫でるように奪っていった。
長い沈黙に耐えられなくなったエリーゼは、
「あの、」
と口を開こうとした。
しかしその声はカイル様によって遮られた。
「なぜ、君は知っているの?」
その声は低く、聞き取りにくいようだったが、エリーゼの元へ確実に言葉を届けていた。
そしてその返答は初めて嘘のない彼自身からの言葉だった。
「信じてもらえるかは分かりませんが…
私は1度あなたに殺されているんです。」
カイル様は目を見張った。
何を言っているんだと訴えるように。
「私は2度目の人生を歩んでいます。」
今度はしっかりとした声でそう伝えた。
「そうか。最初から君に正体はバレていたんだね。
じゃあなんで僕なんかと結婚したの?」
彼は呆れたような表情をして見せた。
「あなたが…あなたのことが好きだったから。
大好きだったから!!」
カイル様はドキリとしたが、その顔は一瞬で曇り空を写した。
「今は?今もまだ僕のことが好きなの?」
「ええ、もちろんですわ。」
「違うでしょ、エリーゼ。
君が好きなのは今君の前にいる僕じゃない。
記憶の中の思い出の中にいる偽りの僕だ。」
カイルは誰かに愛されることを知らなかった。
そもそも愛なんて言葉が本当に存在するのかも知らないくらいに。
好きだよ。とか、愛してるよ。とか、そんな言葉思ってなくても言える。言うだけなら簡単なんだ。
カイルもエリーゼのことが好きだった。世界から咎められる中でも眩しい笑顔を見せる彼女のことが羨ましかった。
でも、愛っていう感情だけは見つけることが出来なかった。
たとえ、きみが自分を好きになってくれたとしても、彼には自分が相手と同じ愛を返せる自信がなかった。
愛。
その言葉に取り憑かれたカイルにとって、エリーゼに自分の気持ちを伝えることは実に難しいことだった。
次回・カイル視点やります!!




