3 愛しているから
たくさんの方に読んでいただけて本当に嬉しいです。
城の中がガヤガヤとし始めたその時、
「ツウィツゥードゥル家のカイル様がいらっしゃいました!!」
と使用人たちの焦り混じりの声が聞こえた。
そうだ。
前世の私も予想していた時間より早く来たカイル様に頭が混乱していたっけ。
私は、小走りでエントランスへと向かった。
私が思っていた以上にカイル様は私に穏やかな顔で笑ってみせた。
「エリーゼ様、ずっとずっとお会いしとうごさいました。」
この言葉にときめいて、一目惚れしてしまったのは昔の話。
「私もですわ。カイル様。」
私もそれに応えるように、上品なカーテシーを披露した。
「お疲れでしょう。どうぞ中へ」
コンコンッ
緊張で手が震えていたのだろう。非常に小刻みなノック音が聞こえた。
「し、失礼します。」
マリアが温かい紅茶を持ってきてくれた。
カイル様は、その紅茶を「ありがとう」と
軽く受け取り、そのままテーブルの上へ置いた。
そして、ひとつ深呼吸をすると言った。
「早速、本題に入らせていただくが。」
「はい。」
「エリーゼ様、私と婚約してくれないだろうか。」
私は落ち着いて答えた。
「…なぜ私なのでしょうか。」
前世の私は、「ええもちろん!!」と言ってすぐに婚約してしまっていた。
もう昔の私とは違う。
私はあなたの裏の顔を知っている。
だけど。
私あなたのことそんなに嫌いじゃないわ。
好きなの。きっとまだ。
あなたが私の暗殺者っていう事実より、
あなたと過ごした偽りの時間の方が記憶に残っているの。
だから、私はあなたとの婚約の願い出を断るつもりはない。
私はあなたにその鎧を脱いでもらいたいのだ。
嘘で固められたその鎧を。
お願い。嘘なんてつかずに正直にこの質問に答えて。
私はどんな答えでも受け止めるから。
「え?
エリーゼ様その質問は、どういうことでしょう。」
カイルは、一瞬冷静さを失った。
しかしすぐにいつもの王子スマイルに戻し、エリーゼに問うた。
「私が周りから狙われていることは知っているわよね?
そのせいもあり、私と婚約したがる方はいないわ。
なのになぜ、あなたは私と婚約するというの?」
カイル様は、フッと笑って言った。
「そういうことですか。
そんなの決まっているじゃありませんか。
私はあなたに一目惚れし、その日からあなたに恋い焦がれているのです。」
嘘だ。
「ですから、こんな私と婚約してくれませんかエリーゼ様」
「……嬉しいわ。ありがとう」
もう何を聞いても同じだと思った。
あなたは、嘘をつく。絶対に。
私は今日カイル様と婚約した。
「エリーゼ様これからどうぞよろしくお願いいたします。」
「エリーゼでいいわ。それに敬語もいらない。」
「では、エリーゼ。」
「「君のことは僕が命をかけて守るよ。」」
私はボソッとそうつぶやいたとき、彼も私の言葉と重なるようにそう言った。
「え?」
カイル様は、戸惑った表情を見せた。
カイル様の一言で私も我に返った。
(やらかしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)
その言葉が来るってわかってたから、つい口に出してしまった。
「う、うふふふ
カイル様ならそう言ってくださると思いまして」
いやー!!こんなの全然誤魔化しになってないわよ!!
「エリーゼ、そんなふうに思ってくれていたのか。
ああもちろんだよ。必ず守るから。」
ばれて…ないようね
だけど、
「必ず…?」
あなたの言葉が本当になる日はいつ来るのかしら。
運命はそう簡単には変えられない。




