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20 救いの光

ーマリア視点ー

私は、独りだった。

父も、母も、弟も、私の町の人みんな私が5歳の時に死んだ。


私の住んでいた町は海が綺麗で、お魚が美味しい町だった。


私のお父さんも漁師をしていて、私を船に乗せて海を走ってくれたこともあった。


きらきらひかる海が大好きだった…はずだった。


私のお母さんの作る料理も大好きだった。

お父さんがとってきたお魚をつかって作る料理はどれも絶品だった。


「海のめぐみよ。海神様に感謝ね。」

という母の口癖。あの時は、素直に受け取れていたのに。


私の弟は、町では話題の美少年だった。

剣士になるために、毎日稽古を受けていて、剣の腕前も素晴らしいものだった。

私の自慢の弟だった。




あの町が大好きだった。



















だけど、悲劇は突然訪れるものだ。


私たちの町を津波が襲った。

港も、商店街も、私たちの家も海に飲み込まれた。

人も。私たちの町にいた人みんな海に襲われた。

弟も、お父さんも、お母さんも、みんな…

私の大切な人みんな海に攫われた。







なのに、なのに私は…

私はたまたま城下町へ出かけていた。

弟の誕生日プレゼントを買いに行っていた時だった。



私だけなんにも知らずに生き残ってしまった。

神様はなぜこのようなことをしたのだろう。

なぜ私だけを残したのだろう。



私だけ…私だけひとりぼっちになった。


世界は思っているより残酷で1人になった少女を助けてくれる人はいない。


崩れた家、ありえない場所まで流れ着いた船。

町は、残酷にも津波の恐ろしさをあらわしていた。


なのに、海は今日も美しく輝いていた。


私はそんな場所にいられる勇気はなくて、その場から逃げ出した。



そして孤児になった私は、ひとり城下町をひたすらに歩いた。


歩いて歩いて歩いて歩いて、お腹がすいて、でも、食べるものなんてなくて、また、歩いて。




そんな私に声をかけてくれたのが、エリーゼ様だった。



「あなた…見ない顔ね。

名前は?どこの町の方かしら。」




「モレ町の…モレ町のマリアです。」

その町の名を口にするのも辛かった。







「そう、そこは最近津波の被害に遭った町よね。

辛かった…でしょうね…」


この少女が貴族であることは、服装からして分かった。

でも、だからこそ無性に腹が立った。

何も知らないこの少女が…どこぞの貴族が…

何不自由なく暮らす彼女に何がわかるのだ、と。


そして私は言ってしまった。


「あなたに…あなたに何が分かるの…!?

お母さんもお父さんも弟も、大切な人みんな失った気持ちあなたには分かる?

辛くて、苦しくて、ひとりぼっちなの…!!

幸せでいっぱいなあなたには分からないでしょうね。」



今思えば、なんと酷いことを言ったのだろう。

あまりにも不敬だった。


なのに、エリーゼ様は…

「そうだったわね。ごめんなさい。

確かに…私にはあなたの気持ちが分からない。

私は今、父や母がいなくなっても、悲しいとは思えない。

ひとりぼっちになっても何も感じられない。

世界を綺麗だと…感じない。」


あの時の私にはこの言葉が何を伝えているか分からなかった。


でも、この時のエリーゼ様を嫌いだとは思わなかった。

そして、


「あなた、私に着いてこない?

メイドを頼みたいの。住む場所もご飯も私が用意するわ。

あなたをひとりぼっちにはしない。」


そういった彼女の言葉を信じてみたいと思った。


長くなっちゃったので、とりあえずここまで。

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