2 違和感
「失礼します」
静かなノック音と共に私のドレスアップを
担当しているメイドのルーズが部屋に入ってきた。
「ルーズ!!久しぶりね!」
私がそう言うと、ルーズは不思議そうな顔をした。
(そりゃあそうよね。)
ルーズはこの城で1番警戒心が強い子だった。
私の食事ひとつとっても、毒が入っていないか、誰が毒見したのか事細かに確認してくれた。
周りからはツンツンしていて冷たい子だと言われているけれど、本当は正義感が強くてとっても優しい子なのだ。
(ツンデレってやつだわ)
だけど、そのせいで…
カイルと婚約して数カ月後に解雇された。
「カイル様、どうしてルーズを解雇なさったのですか」
「エリーゼ、僕は君に1人の普通の女の子として暮らしてほしいんだ。
あんなふうに過剰に物事に警戒していたら、君は気にしてしまうだろう?」
ああ、カイル様はこんなにも私のことを考えてくれていたのか。
ーー優しい方だな。
あのときはそう思えた。
だけど、違う。
あれは優しさなんかじゃなかった。
自分の行動が怪しまれるのを防ぎたかった。
ただそれだけだ。
ルーズはあの時、
「お嬢様、どんなに身近にいて安心できると思っている人でもあなたを狙っているかもしれないのです。
そのことをお忘れなく。」
と言っていた。
今思えば、あれはカイル様のことを指していたのだろう。
ルーズの気遣いに気づくことができなかった私は、なんと愚かなのだろう。
今世では、ルーズのことも絶対に救う。
「お嬢様、カイル様がまもなく到着するとのことですので、仕上げのドレスアップをさせていただきます。」
「ええ、お願いしますわ」
シュルシュルと布のこすれる音だけがかすかに響く。
「できました。お嬢様は、本当に美しいお方ですね」
ルーズがそう言って、私が微笑みを返した時
「お嬢様ー!!きゃー美しいですー!!」
とマリアが部屋に入ってきた。
「この前、街で素敵な色のネイルを見つけまして、お嬢様に似合うと思って買ってきてしまいました」
マリアが手に持っていたのは、
ほのかにピンクに染まったネイル。暖かな色味は春を連想させた。
「ふたりともありがとう。
本当に…ありがとう」
私は、思わず目いっぱいに涙をためた。
ふたりは困惑して、
「「お、お嬢様!?」」
とあわあわした様子でいた。
私はたくさんの人から狙われているけど
こうやって、みんなと笑い合いながら過ごすことができて本当に幸せだ。
「マリア、ルーズ。
これからも、ずっと一緒よ。」
本当はカイル様にまた殺されてしまうかもしれないと思うと、ちょっと怖い。
だけど、幸せな未来のために私は、運命を変える。
エリーゼの決心と新キャラのルーズ




