18 向けられた目
ーカイル視点ー
腕の中の彼女は、力が抜けたように僕の腕に体重をかけて倒れた。
僕が、
僕が殺したんだ彼女を。
「任務が達成出来たら、お前の今日まで行ってきた鍛錬が報われるからな。」
昔。
幼い頃に、父上にーダジル様に言われたその言葉は全くの間違いだった。
残るのは後悔。ただそれだけ。
失ったものは、もう帰ってこないのだ。
僕が声を上げて泣いたその時。
彼女のメイドが部屋に入ってきた。
「失礼しま___お嬢様ッ!?!?」
彼女は驚き、バッと僕の方へ振り返った。
その目は怒り、絶望。
それ以上に、悲しみ…?
まるで僕に裏切られたと訴えるかのような目。
どうして…どうしてそんな顔をしているのか僕には分からない。
「誰か、誰か高度治癒魔法が使える者を呼んでッ!!!!今すぐに!!」
メイドの声が僕の耳の奥に響く。
メイドが治癒魔法の使い手を呼んで、手当をしている時。
先程とは別のメイドの女性が現れて、僕の方へ近づいた。
「どうして…どうしてあんな事したの
お嬢様は私たちの生きる希望なの。
やっぱり、よそ者を信じるんじゃなかった。
お嬢様が助からなかったら、許さないから。」
信じる…?彼女は、僕のことを信じていたというのか。
エリーゼの周りには変わった者が多いようだな。
信じる_それはどれだけ難しいことか。
刃物を、あるいは銃を向けた人の前に何の防具も持たずに立つようなものだ。
"信じていた"
やめてくれ。そんな言葉言わないでくれ。
苦しいから。大切なものを失ったという事実に気付かされてしまうから。
だから僕は…僕を繕う。
「僕は、エリーゼを愛したことなんてなかったんだよ?
騙されちゃったね。僕は初めからエリーゼの暗殺者で__」
そう言った僕の言葉を遮って、マリアという名のメイドが言った。
「違う!!そんな訳ない!!
私は見てましたもん!!
お二人は一緒にいる時いつも幸せそうでしたもん。
世界中の誰よりも素敵な夫婦でしたもん。
私の憧れでしたもん…
それに…本当にそこに愛がないなら、どうして貴方様は泣いていらっしゃるのですか……?」
泣いている…?いや、泣いていない。泣いてなんかない。
僕の演技は完璧だ。いつだって僕の嘘は、事実さえ塗り替えてしまうんだ。
なのに、視界が…
滲む。目の前がぼやける。
「行かないで、エリーゼ。」
そう言うなんて、僕はあんまりにも自分勝手だなぁ。
でも、神様。
僕は幼い頃から、努力の種類は間違っていたかもしれないけど、頑張ってきたから。
一生懸命生きたから。
一つだけ、願いを叶えてください。
エリーゼとまたあったかいお日様の下で笑いたい。
「エリーゼ様がっ
目を覚まされました!!」
そいえば、小話なんですけど、
名前の由来が、
ダジル→ダージリンティー
ルイティーナ→ルイボスティー
なんです笑




