16 懐かしい景色
遅くなってすみません!
あれ…?
ここはどこ??
気がつけば私は辺り一面真っ暗な場所にいた。
(暗い…今は夜中?)
そう思っていると背後から懐かしい声がした。
「エリーゼ?怖いの??大丈夫よ。私が居るわ。」
え、?
お母…様??
「なあに?真っ暗だから怖いんでしょう。でも、もうすぐ着くわ。」
お母様、どうしてここに?
それに、着くってどこへ??
頭の中にたくさん聞きたいことが浮かんだが、声にはならなかった。
お母様は、どんどん先へ進んで行った。
懐かしく、優しげな母の背中を私はただただ追いかけた。
しばらくすると、お母様は立ち止まり、言った。
「さぁ、着いた。あれ、目を瞑っているのかしら?
大丈夫よ、お化けさんはまだ出てくるじかんじゃないの。」
お母様?私は目を瞑ってなんかいませんよ?
それにこの歳じゃもうお化けなんて…
お母様の優しげな声色は、幼子に話しかけるようだった。
「怖いなら、ほら。
そのまま目を瞑っていていいから、真っ直ぐ上を向いてごらん?
そして…
ほらっ目開けてごらん?」
私がお母様に言われた通り目を閉じ、再び目を開くと。
そこには、真っ暗な闇一面に散りばめられたたくさんの星たち。
綺麗…
ふとお母様の方を見ると、同じように星を眺めて、微笑んでいた。
懐かしいなぁ。
お母様の笑った顔見るの。
そうしていると、お母様は私の方を見て言った。
「エリーゼはよく怖い時目ぎゅってつぶるけど、
嫌なもの、怖いものから逃げたくてぎゅって固く目閉じたりしちゃだめだよ。
そうしてるとね、見えたはずの素敵な景色も見れなくなっちゃうから。
怖いものから目を背けるのは悪いことじゃない。
でも、完全に閉ざしちゃうことによって、自分から自分の可能性を奪っちゃダメよ。
目を向けることで見えてくる新しい世界があるのを忘れないで。
…まあ、幼いエリーゼにはまだ難しいかしら。」
お母様は、そういった。
その言葉で思い出した。
お母様が、星を見るために私を夜に、外に連れ出してくれたあの日のことを。
誰よりも大好きだったお母様。
私の人生の大先生で、いつも新しいことをおしえてくれた。
でも、もうきっとあの人には会えない。
それに、あの頃のお母様はもういない。
これもきっと、私の走馬灯かなにかだろう。
でも
もう少し生きられたなら、
もう一度、会いたいよ。
親愛なるお母様。




