十三話 青悪魔のお願い
ご馳走を食べたあと。俺とエメラは緊張と疲れから熟睡し目が覚め翌日
朝御飯を食べ終わったあと。ディアさんから最後の授業があった
それは十三連魔という世界の平和のため自由のために抗った十三人の英雄。そしてそれらを従える堕神シシンについてだ
もちろんディアさんも十三連魔であり平和のため抗った一人だ。
十三連魔には
【青悪魔】【白天使】【雷虎】【蜘蛛の女王】
【星の精霊王】【鬼神の魔王】【奇形の改人】
【双子の鍛冶士】【長耳の勇者】【虚構の王女】
【海豚神】【炎極竜】【死と絶望の女神】
がいる。彼らはこの世界。アイランシスの各地に世界の混乱を起こさないよう封印されている。
概念を作り出したカムカミを次こそ堕とすため。主の復活を待っている。
しかし十三連魔の力を悪用とする人間はこの世界にある程度存在しておりディアさんの話によると自分と同じ洞窟に封印されていたディアさんの妹。白天使ファリが封印を解かれてしまったらしく音沙汰がない。
十三連魔の封印は堕神のグルーヴ【殺意】によって解かれる。大昔こそ殺意のグルーヴは極少数だったのだが俺もそうだし他もそうなのだが【殺意】のグルーヴはとある事件が原因により今は昔程ではなくなった
その事により最初に被害に会ったのが白天使と言うわけだ
ディアさんは何故解かれなかったのか…それはディアさんにも分からないが…十三連魔が世界に解きはなれた時。その姿をみた者は概念に支配される
白天気が今何処にいるか分からないが一人の封印が解かれた以上。もう黙って見ている訳には行かない
そこで…ディアさんは冷静に考えた。どうすればこの問題を解決できるか。そうして浮かんだ解決策は
俺とエメラを仮の主とし他の十三人の封印を解いて主の復活を加速させてカムカミを打ち倒してしまう。と
そうすることで概念は消え晴れてハッピーエンド…なんだとか…
「そこで…お二人には申し訳ないのですが重荷を背負わせてしまうかもしれないんです…だからお願いします…私達に…協力してください…」
その言葉は確かに重みを持っていた
エメラも俺もやる気に満たされていた。俺は不安だらけだがエメラのあの決意の顔を見たら怖じけついて何ていられなかった。
「うん!私協力する!!!絶対にディアさんや皆を助けて見せるから!!!」
エメラは勇ましかった
そして悪魔からはもう一つのことについて語られた。それは主についてだ
主こと堕神シシンは本来生命を司る神だった
しかしシシンはカムカミの考えが気にくわなかった。神だから愉悦に浸るのは間違ってる。我々は人を越える存在だが慈悲があっても良い筈だ。全ての人々が幸せに暮らせる世界があっても良い筈だ。と
カムカミは反乱分子と判断しシシンを堕とした。
堕ちた際にシシンは壊れかけだった。しかしカムカミは追い討ちをかけるように大戦争を起こし。シシンはそれを全力で止めた
そうしてシシンは力尽き十三連魔を封印しその際
「デッキで朽ちる」
と十三連魔の皆に伝えたそうだ
デッキ…英語だと台とかそんなイメージがある。しかしそんな国や地名は何処にもないし何処のデッキかもディアさんには分からないそうで
十三連魔に協力して探して貰いたいので伝えて欲しいとのことだ。俺はディアさんの十三連魔の皆に伝えたい事を欠かさず書き記したのでこれで大丈夫だと思う。
そんな話を終えリュックに身支度を済ませ。そろそろと告げたディアさんは俺とエメラを洞窟を深く行ったその先。最後の試練の前。俺が唯一ディアさんに悩みをうちあけたあの場所に案内した。何重にも重なる結界は俺らが近付くとその警戒を強固な物にした。俺は旅の準備を済ませたリュックを持ち直す
「さて。お二人には渡したいものがあります」
そういうと青悪魔は自分の指を分裂させ服を着せ小さいディアさんを作った。すっげぇユルい…
「わぁ~!可愛い!この子何て言うの?」
「…すごい…」
「私の分身体。チビアです!私と感覚器官を共有しています。小さいですので戦闘能力は雀の涙程ですが…ある程度のアドバイス等は可能です!」
「…ディアさんはこれないんですか?」
「やはり概念はどうしても払拭するのは難しく…チビアはその概念を限りなく薄くした子なんです。この子を私の変わりとして連れていってください」
「そうなんだ…残念かも…でもこの子のお陰でずっと一緒だね!」
「そうですね…私も離れ離れになるのは悲しいですから」
「お二人には申し訳ない事をしてしまいます。見守るとはいえ…お二人に頼ってしまうこと…本当に…なんと言えばいいか…」
「ううん!ディアさんにはいっぱいお世話になったもん!今度は私がディアさんを助けるんだ!」
「そうです…ディアさんには感謝してもしきれないです」
そういうとディアさんは俺とエメラを抱き締めた
「あぁ。この抱き締めた感触としばらくお別れなんですね…ずっと抱き締めていたいのに」
「…ディアさん…僕たち…頑張りますから…」
「そうだね…頑張る!」
「…ふふっ…お二人とも大好きです。見守ってますからね…全力で頑張ってください!」
そういうとディアさんは俺とエメラから離れ結界を見つめ
「さぁ。この結界に手をかざしてください」
俺はゆっくり結界に近付いた。その結界は俺が近付く度に警戒するように紋様を中心に寄せる。
俺が手をかざそうとすると辺りが赤くなった。いや…俺の視界が赤くなってるだけか…?
「ルテロッテの目が光ってる…!」
「あれが殺意のグルーヴです!これで封印が解けるはずです!」
辺りに風がなびき押されるような勢いが俺に押し寄せる。
「はぁッッ!」
力を込めると結界は青く光り紋様が弾けとぶように壊れた。
壊れると同時にディアさんのような紋様が扉に浮かび上がる
「…綺麗…」
「さぁ…扉は開かれ私はこれで封印を解かれ私は解放されました」
そういうとディアさんは胸元のポケットから一枚のカードを取り出し俺の肩に手を乗せカードを渡した。カードの模様は扉の模様と同じだ
「このカードも…チビアと共に持っていってください。もし…ないとは思いますが万が一…自分達の力でどうしようも出来なくなったとき。この《大アルカナ【悪魔】》を使ってください」
「…使うとどうなるの?」
「私を一時的に【召喚】出来ます」
「え!?それって大丈夫なの!?」
「だから…万が一…です♪」
そういうと…ディアさんは微笑み俺とエメラの背中を優しく押した。
「行ってらっしゃい!お二人とも!」
「うん!行ってくる!」
「…行ってきます!」
俺とエメラは未知の洞窟に足を踏み入れた。
…第一章完