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弱テン才  作者: 愚者
第一章【青悪魔と蒼白の洞窟編】
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九話 戦闘訓練

それから俺達は何日間もここで生活した。

思ったよりここでの生活は楽しくてそして俺の知りたい気持ちをくすぐってくれる。

俺は一人になれる方法…いや…正確には一人でも幻聴を聞かなくて良い方法をやっと理解した。

それは集中すること…俺が引きこもり時代に編み出したパンツバナナ集中法。略してパナ中を使って一人でも居れることに気付いた。

俺が徹夜でチャートを開いて勝負をしたりするときいつもこの戦法を使っていた。

パンツを被ると言う非人道行為。誰かに見られては死んでしまうような行為…逆手に取れば辺りの警戒心を必然的に強くしてくれる。そしてバナナ

味覚と嗅覚をあのバナナの甘さと匂いで征服することでこの集中法は視覚と聴覚に集中する。

幸いにも“何故か“俺は女なのでパンツの収穫は容易でバナナもなんとディアさんが栽培してた果物の中にらしき物を見つけた。匂いは少し違うが形も味も全てが完璧な作物があった。名前もバナナ。と言う…神はいたんだ。

こうしてパナ中のお陰で俺は一人の時間を確保しつつ二人と馴染んでいった。

二人はとても優しい…俺の疑心暗鬼。天邪鬼を浄化するような優しさだ。俺にとってはとてつもないくらい自分の性格に釘を打たれるような優しさで辛い。




「さて…エメラちゃんもルテロちゃんも大分成長してきましたね」

「そうかな?なんか嬉しいなぁ♪ね!ルテロッテ!」

「そこで!もうそろそろ約束を果たそうと思います!」

「約束…ですか?」

「はい!今日は魔術と筋術について!教えていきたいと思います!」

「え!?それ本当!?」

「はい!本当です。二人を見ると魔力にも筋力にも満たされてきたように見えます。ですからもうそろそろ教えていきたい思いますが…よろしいでしょうか?」

「うん!私頑張る!!!」

「はい!」

とうとう俺が一番気になっていた戦闘訓練の授業が始まった。戦闘訓練が始まると俺らは家の外に出て俺達がいつも掃除してた場所に来た。そこには藁で出来たかかしと倉庫と広い空間があるだけ

「さて…ではまずはエメラちゃんとルテロちゃんが魔術と筋術のどちらに適正があるか見ていきましょう。おさらいですが筋術と魔術の違いはなんだか分かりますか?」

「…えっと…筋術は剣や武器を持ち筋力を使った戦闘術…魔術は魔力を用いて魔法を生成し自然現象を使う戦闘術…でしたよね」

「百点満点ですルテロちゃん!」

「スゴい……私も覚えなきゃ…」

まぁ…興味あるから覚えてただけなんだけどね…

「では筋力について見ていきたいと思います。この木剣を持って彼処のかかしに思いっきり斬りかかって見てください。どっちからやりますか?」

「はいはーい!私からやる!」

そういうとエメラは木剣をディアさんから貰いかかしの前に立った

「全力で叩けば良いんだよね!」

「はい!お願いします!」

「ふぅ……やぁぁぁぁぁっ!!!!!」

エメラはかかしに向かって一息つくと全速力で助走をつけ脳天を狙うように勢いよく斬りかかった。

「バァァァァァン!!!!」

けたたましい轟音と共にかかしにぶつかる木刀には確かに何かの光を散らし突き刺さった。

これは本で読んだ。あの光こそ筋力がエネルギーを出した時に出る奴だ…。あれこれ初めてだよね?エメラって上で狩りしてたとき剣使ってたっけ…?

「わぁ…!スゴいですエメラちゃん!筋力がちゃんと出てました!」

「ホント!?やったぁ!!!」

エメラはピョンピョンと跳ねている。いや…お世辞抜きにいまのは凄かった

「さて。次はルテロちゃんです!」

そういうとディアさんは思いっきり突き刺さった剣をいとも簡単に引き抜き新しいかかしと取り替え俺に渡した。

さて…筋力の出し方も本で見た。特定の部位に力んで振り上げるらしい

言葉で書いてあることを鵜呑みにするなら二の腕と足を力んで振り上げれば筋力が出るんだろう。

俺は覚悟を決めた

「………すぅ……はぁぁぁぁぁっ!!!」

俺は助走をつけエメラと同じくかかしの脳天に斬りかかった。

「パァァン!!」

さっきより音が軽い…光も出はしたがほんの少ししか出なかった。

「スゴい!ルテロッテ!光ったよ!」

「…ルテロちゃんもスゴいです!」

二人は褒めてるが多分ディアさんの顔を見てわかった。間違いなく俺は筋術の使い方が上手くない。本で予習してても才能とは残酷だ…なんでエメラがあんな光とけたたましい轟音を出したんだか分からない。何あの子怖

「初めてで二人とも筋力を引き出せててスゴいです!筋力を引き出すために一週間かかる子だっているんですがエメラちゃんとルテロちゃんならどんどん吸収してくれそうです!」

エメラが最上級であるなら…俺は中の下…くらいか…

「やったぁ!!!」

「さて!次は魔力についてみていきましょう!さっきエメラちゃんからやったから今度はルテロちゃんからやりますか」

「はい…やります」

「その前に…お手本を見せますね♪一番簡単な魔法で行きましょう」

そういうと先ほど俺が木剣を入れたかかしに向かい片手を構えた

「大地怒りし時現れし太陽の器今ここに。顕現せよ!炎球【ファイヤーボール】」

そういうと小さな炎の玉が生成され直進するように飛んでかかしに当たると

「バァァァァァン!!!!」

その後すぐにディアさんは水の玉を出して火の球は秒で沈下した

「ではこの詠唱をかかしに向けてやってみてください。ルテロちゃん。詠唱は大地怒りし時太陽の器今ここに。顕現せよファイヤーボール。ですよ♪」

大地怒りし時太陽の器今ここに。顕現せよファイヤーボール…ね…よし。

「ルテロッテがんばれー!!」

俺は両手を前に出し構えた

「ふぅ…行くぞ…大地怒りし時!太陽の器今ここに!顕現せよ!炎球【ファイヤーボール】!!!!」

そういうと両手の前に炎の玉が生成された。ちょっと待て…これ作られるとき何かを感じた…このもう一つの手みたいに自由に動く何かを操作して…炎の玉を挟み飛ばした。

ものすごい勢いで飛んでいきかかしを外れ。広場を囲う低木に飛んでいき大爆発を起こし大きく燃え始めた。

「きゃあっ…!?水壁【ウォーターウォール】」

ディアさんが悲鳴を上げ水の巨大な壁を作り出しそれを倒し低木の燃え移る木を消化した

「…ごめんなさい」

「ルテロちゃんは悪くないです…こんな遠くで当てれる子の方が少ないですから…基本は…かかしにつく前に落ちて消えるのですが…威力と良い発射速度と良い…申し分ないですね♪」

「ルテロッテかっこ良かった!」

今何かコツをつかんだ。精度さえ上げれば間違いなくあれに当てれる自信がある

「さて次はエメラちゃんですね。かかしは生き残ってるのでこのまま行きますか♪念のため水壁【ウォーターウォール】を張っておきますね」

そういうとかかしの後ろに壁が出来た

「よーし!頑張るぞ!えっと…詠唱なんだっけ?」

俺は昭和のように態勢を崩す

「…えっと…大地怒りし時太陽の器今ここに顕現せよ炎球【ファイヤーボール】」

「わかったありがと!えっと…大地怒りし時太陽の器今ここに…えっと……顕現せよ!!炎球【ファイヤーボール】!!」

最後勢いだったな…。

エメラが詠唱をするとユラユラの炎の球体が小さく情けなく出てきて落ちた

「あぁ!私のファイヤーボールが!」

これが普通…なのかな

「魔法を出せるだけでスゴいです!」

ディアさんなんでも褒めるやん。たぶんそのうち生きてるだけで褒めてくれるぞ

「ルテロッテみたいにかっこ良く飛ばしたかった…」

エメラはいつもの元気な感じに比べ少し落ち込んでいた。俺は優しく頭を撫でた

「さて!エメラちゃんとルテロちゃんの練習すべき方向が決まりました!」

うん。大分自明の理だよなこれ

「エメラちゃんは筋術。ルテロちゃんは魔術を極めていきましょう!」

知 っ て た

「私も魔法でかっこ良くファイヤーボール打ちたかった…」

「…エメラちゃんのお気持ちは良く分かります。ですがエメラちゃん。もしかしたらルテロちゃんもエメラちゃんとおんなじことを思ってると思いますよ?」

正直言おう。剣かっこ良いから俺はそっちが良かった。昔からゲームしてても俺は剣士や近距離の武器やキャラを選ぶ男だった。だからこそ俺は剣が良かったのだが…あれを見た感じ俺に剣の才能は本当にない。ましてや俺はエメラと違い本でカンニングしてあれだ。間違いない。エメラには剣術の才能がある

「うん…僕もエメラみたいにかっこ良く剣を振りたかった…」

そういうとディアさんが真面目だが優しい顔でこういった

「…一つお話させてください…エメラちゃんもルテロちゃんも今日の事で思ったとは思いますが…自分が望んだ力が必ずしも自分に宿ってるとは限りません。そして自分の望んだものはだいたい誰かが持ってます。でも心配することはありません…自分の望んだものではなくても自分の特技は必ずあります。それを極めていけば…そのうちその特技が自分の望んだ力になりますよ♪」

そういうとエメラの顔は明るくなった

「うん!わかった!私は剣を極める!そして剣が好きになる!」

「…僕は魔法を極めます…」

「その調子です!教える側として二人の成長を期待しています!さて…今日はもう遅いですし…夜ごはんを食べましょう♪明日から本格的にトレーニングしていきましょう!もちろんお手伝いとお勉強してからですけどね♪」

「「はーい!」」

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