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考福  作者: 廣瀨 玄武
過去と記憶が紡ぐ日々
8/11

考福8.何もかも燃えゆく日

【捕獲】

生き物を捕らえる。生き物と捉える。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

目を開けたら、男が二人。

無機物が一つそこにはあった。

無機物は瞬きもせずこちらを見ている。

あの男は…間違いない、僕を攫った男だ。こちらに気づいた。

「目覚めたか。」

その立ち振る舞いは研究者のそれだった。

少し髭を生やした。白い衣服を身にまとった男。

医学生故正直ちょっとかっこいいとか思ってしまった。

「お前、」

その一言で全身が固まった。

「友達できたのか?」

「あの女…」

その言葉を聞いた瞬間、掘り返される近い記憶。

「ミハタちゃんはどうした!?」

勢い良く起き上がり、こいつの胸ぐらをつかもうとしたが、

無機物に止められた。

「なんだその人差し指は…?」

男は僕に指を指す。無謀だが睨みつけてみる。

男は出た人差し指を他の指と並べ、親指でおさえた。

男は唐突に自己紹介を始める。

「私は白山(シロヤマ) 黒海(クカイ)。」

頭に引っ掛かりを感じたが、すぐに消えた。

「話をそらすつもりか?」

目の形を変えず、口の部位を動かす。

僕の反抗を無視し、無機物の息の根を止め、白山は去った。

「やはり分からないようですね。」

また違う男が喋り出す。

「君はここにいるべきでは無かった。」


僕にはその言葉が、男の脳から聞こえた。


途端。また視界が認識を諦める。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「やめて!やめてっ!」

抵抗は無駄だった。

あの恋も唯の記憶だった。

友達は離れていった。

それでも私にとって確かに幸せだった。

冷たい腕に囲まれて。心臓の音も聞こえない。

ロックを解除する音。ドアが自動で開く音。

キーボードを叩く音。椅子に座らされる音。

『対象の捕獲に成功。』

その言葉で、私は現実に連れ戻されてしまった。

目の前に二人の男。

あの男は…間違いない、有他を攫った男だ。

「有他はどうしたの!?」

勢い良く起き上がり、こいつの胸ぐらをつかもうとしたが、

それでは聞き出せないと察して、諦めた。

「ユータって呼んでるんだね。」

どこか泣きそうな医者が一人。

「あなたは…?」

「私は…暗上(アンジョウ) 明下(メイカ)。」

「君には申し訳ないが、ユータ君と友達をやめて欲しいんだ。」

「何?なんで?説明されないとわかんないよ!」


次の暗上先生の言葉で、私はそう言った事を後悔した。

「そうですか…彼は」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

荒れた家。

つかない照明、

出てこない水、

破壊された窓、

開きっぱの扉、

拡がりゆく火、

表示されるはカラーバー。

1歩、進む。

足に何かがあたる感触。

生き物だ。

下を向く。

そこには人があった。














ユーリさんが。

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