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考福  作者: 廣瀨 玄武
過去と記憶が紡ぐ日々
7/11

考福7.君の手に触れた最後の日

【回収】

その目的は定かでは無い。

一方的である場合があれば相互的である場合もある。

受け渡されるモノは物か。者か。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ある学校の帰り道。

すっかり田舎に覆われたミハタちゃんの周りには最早女子生徒

すら寄りかからなくなった。

彼女は幸せなのだろうか。そんな事を考えながら歩く。

笑いながら。平凡な話をしながら。

今日はいつもより気分が良い気がする。

先日貰ったロールキャベツ写真集(ミハタちゃんのサイン入り)のお陰かもしれない。

目の前に男性が姿を現す。

僕とミハタちゃんは男性を中心に円を描く様に避ける。

少し楕円寄りの円を描いた2秒後。

先程の中点に引き寄せられる。

それもそこそこ強引に。

男は言う。

「こっちに来い。」

また違う男の声がする。

「私はキミを回収しなければならないのです。」

必死に抵抗する。手を伸ばす。

ミハタちゃんの手が触れたその瞬間、僕の視界は認識をやめた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

呼び鈴。

深畑ちゃんだな。何故か分からないが確信を持てる。

「はーい」

鍵を開けると同時に勢いよく引き戸が引かれる。

激しい音をたてながら、深畑ちゃんが現れた。

「どうしたどうしたー!そんなキツそうな顔して」

「私を、匿ってください!」

理解が出来なかったが、とりあえず家に避難させた。


「なに?有他が…?」

彼女の話を全て聞いた俺は、嫌な予感がした。

俺の中の空気が不協和音を奏で始める。


その時、何者かが扉を開ける音がした。

しまった。あまりに唐突な出来事に鍵をかけるのも忘れていた。


恐る恐る玄関の方を見ると、無機質な人型がそこにはあった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


回収した物が一向に動かない。

「あの子は誰なんでしょう?」

確かにそこに、見知らぬ女が隣にいた。

「友達だろうか…。」

「いずれにせよ、あの子が悲しむ前に彼を離さなくては。」

それはそうだ。おそらくあの女は何も知らない。

だが不都合な事に、彼女は彼から離れたく無いそうだ。

私は起動スイッチを押した。

「行け、」

「Δου-λοι087-デューロイ。」

「Ser-VANT992-サーヴァント。」

『捕獲対象を入力してください。』

『警備対象を入力してください。』

「彼らは…?」

「研究施設警備用ロボット-Δου-λοι087」

「人工知能脅威対策用ロボット-Ser-VANT992」

「私の開発した非常に優秀な部下だ。」

私はサーヴァントに回収物の名称を入力し、

デューロイにはこう入力した。


[浅田 深畑]


するとデューロイは、研究施設を離れていった。

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