考福3.彼がモザイクを貫く日
【学校】
学び舎。学び屋。
人が知識をつむぎ、知識で人をつむぐ場所。
「一応前聞いた少なすぎる情報から色々漁ってはいるんだがー、このままじゃ到底答えにはたどり着けそうにないな、有他。」
「そうですね、情報が不足しています。」
「白い服を着た人ねー…んなもんどこにでもいるからなぁ。」
優裏さんは表情とともに話題を変える。
「そうだ有他。このままぼけーっとウチにいられても正直アレだから、」
正直アレらしい。
「学校に行ったりしないか?」
「ほら、得意な科目とかあるだろ?」
「僕は…医学に詳しいらしい。」
「ええっ!?いっ、医学!?飛ばしてきたなあ。」
飛ばす?僕が今何か飛ばしたというのか。
有裏さんは僕の混乱を無視して続ける。
「医学なら、近くの肉骨医学校かなんかがあった気がするぞ。お高いが……」
やけに詳しいな。それに中々珍しい名前だ。とりあえずそこに
「入ろう。」
あっ、声に出てしまった。
「でも簡単じゃ無いぞー?受験とかもあるから特に医学なんか」
やってやろうじゃないの。
試験は1ヶ月後のようだが。
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講義終了の音が校内中に鳴り響いた。
よし、帰ろっt────
「深畑ちゃーん!」
立ちはだかる新たなる敵か。かかってこい。
「今日一緒にご飯とかどうー?近くのファミレスとか」
安い。ダメ。
「ねえねえ深畑ちゃんどんな曲が好きなの?カラオケ行こうよ」
嫌だ。私が歌うのはさいたまスーパーアリーナだけだ。
「深畑ちゃん本当綺麗だね、どんなコスメ使ってるの?」
強いて言えば日焼け止め。
毎日毎日こうだ。世間一般で言うモテ女ってやつ??
ごめん無理。私はどうやらモザイクをも貫く神のような人としか話すことができないようだ。
が、ある春の日。
私の世界がひっくり返った。
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