試合、タダで見に行けるんだけど行ってみない?
本話では都市対抗の試合をどうやって見たらいいかをガイダンスします。
<試合の観戦方法>
①入場料を払う
当たり前と言えば当たり前ですが、入場チケットを買えば中に入れます。
東京ドームで行われる本戦の場合、バックネット裏で2,000円から3,000円くらい。外野席だと1,000円かからずに入場できます。
(※価格は2022年度大会のもの)
プロと比べれば実力は一歩落ちますが、その分価格も安いです。
しかも一発勝負のトーナメントによる真剣勝負なので、見る価値は十分にあります。プロ野球だってシーズン143試合の中で、あらららら……となってしまうようなガッカリする試合もありますからね。
とはいえ、お金を払ってまで見に行くこともないと思う方も多いでしょうし、私も他人様に金を使って観に来い! とは言えません。実は、タダで見ることの出来る方法があるのです。
②チーム応援席
野球場に行ったことのある方なら分かると思いますが、①で紹介したバックネット裏と外野席以外にも席はあります。
それは1塁側と3塁側の内野席。
グラウンドを斜め、もしくは横から見るこの席は、都市対抗では両チームの応援席として関係者に割り当てられております。
普通に考えれば、企業チームならその会社の社員さんとか家族向けの席ということになりますが、実は無関係の人でもチケットがもらえます。
その入手方法は、通常のチケット販売窓口ではなく、試合前に球場の外に設置された企業やクラブチームの応援席ブースの受付に並ぶこと。
会社によっては、かんたんな氏名の記入や来場理由を書く場合もありますが、関係ない人でも「チームを応援したいので」と言えば、嫌な顔をする係員はいないと思います。
※会社によって、従業員や後援会に入ってないと入場できない場合もあり、全部のチームが対応しているわけではないので、念のため受付で確認してください。
列に並んで順番を待つと、チケットを配布され、チームによってはオリジナルの応援グッズ(うちわとかタオルとか)を配られることもあります。これも無料なのでありがたく頂戴しましょう。
そして入場してからは、必ず応援団(会社やチームの方)の指示に従ってください。席も入った順に順番に割り当てられるので、勝手に移動したり、席の場所を選ぶことはできませんが、無料なのでそこは仕方ないと思ってください。
で、このチーム応援席に座った場合、試合ごとに入れ替え制となります。その試合が終わったら次の試合のチームが使いますので、次の試合も見たい場合はそのチームの応援席ブースに再度並べば、またチケットがもらえます。1日3試合くらいありますので、この方法であれば朝から晩まで野球観戦が楽しめるというわけです。
<試合の楽しみ方>
無事に席を確保しましたら、試合を楽しみましょう。というのはスポーツ観戦なら当たり前ですが、社会人野球での楽しみ方をいくつかご紹介します。
①応援
プロ野球と同じように、攻撃時は応援団が楽器を鳴らして自チームの選手を応援します。中にはチアを用意しているチームもあったりしますので、リズムに合わせて応援してあげましょう。最悪応援せずに試合観戦していても構いませんが、折角なので周りの皆様と盛り上がってみるのも一興かと思います。
ただ、決して相手チームには声援を送らないでください。トラブルの元になります。
応援のコールは「音楽→かっとばせー○○(選手名)」が主流。コールの仕方だったり、選手名なんかは応援団が見えるようにボードを掲げているので、知らない人でも大丈夫です。
②音楽
チームの応援団やチアはみな会社の社員さんです。野球部が社業の合間で練習しているように、彼ら彼女らも仕事が終わってから練習しているそうですので、是非その成果を見て聞いて楽しんでください。
チアさんはそれほど激しい動きはなく、一般人でもマネしやすい分かりやすい振り付けだったりすることが多いです。観客の皆さんと一体になってという狙いかもしれません。
そして応援団の楽曲。各チームで特色があって、高校野球とかでもおなじみの楽曲も多いですが、一部のチームではオリジナル曲を使ったり、新曲を使ったりと多彩。その中で私の一番のオススメはセガサミー野球部です。
ご存じの方も多いと思いますが、セガサミーはパチンコやゲームを製作する会社ですので、自社機種で使った楽曲を流したり、社内に楽曲製作できる人がいてその人が作ったオリジナル曲を流したりします。
大ガメラ、ウルトラセブン、アラジン、獣王など、サミー社が製作したパチスロで使用する楽曲が選手の応援で使われていたり、得点を取ったときは「檄!帝国華撃団」(セガの名作サクラ大戦の主題歌)が流れたりして、社会人野球の中では一際応援が目立つチームなのです。
③地域・企業の特色
都市対抗とは街同士の戦いというのが根底にあり、特に地方のチームなんかだと地元推しなことがよくあります。
例えば応援で地元の郷土芸能(太鼓とか和楽器、踊りなど)を披露したり、ときには市長やらが観戦に来たりとか、とにかく地元愛を前面に押し出すことも多いです。
あとは着ぐるみ。地元のゆるキャラが登場したりするんですが、残念ながらほとんどが「アレ何?」となって、スマホで検索してみたりとなるのですが、場を盛り上げてくれます。(ちなみに私はHonda熊本の応援に来たくまモンしか分かりませんでしたが……)
他にも企業チームだと、会社のキャラクターが使われることもあります。ENEOSだとエネゴリくん、JR東日本はSuicaペンギンなんかも出てきます。
どうでもいい話ですが、昔、東芝が一社提供をしていた頃はサザエさんが応援に来てたりもしてました。今は一社提供どころかスポンサー自体降りちゃいましたね。時代の流れか……
④スタグル
スタジアムグルメ、略してスタグル。
東京ドームはジャイアンツの本拠地ですから、多くの飲食店が出店しています。
実は都市対抗開催時もその多くが営業を行っており、プロ野球開催のときと同じようなメニュー、普段食べることのない球場飯が楽しめます。(一部例外あり)
他にも、スタンドにビールやサワーの売り子さんが来るのもプロと同じ。(ただし数は少なめ)
東京ドームの売り子さんはカワイイ子が多いと有名です。だから何だって? それも楽しみの1つですよ。
⑤試合観戦
何でこれが最後なのさ! と自分でツッコミを入れてみるが、一番は試合です。
何度か話には出しましたが、社会人野球はプロへの登竜門。高校大学と第一線で活躍しながら、ドラフトで指名されず、社会人入りして再度プロ入りのチャンスを狙うという方が多くいます。
プロ球団の需要と選手の能力がマッチしなかったというケースは多々ありますので、必ずしも彼らが劣るとは言えません。
事実社会人になってから才能が開花したという人も多くおり、そんな彼らにとって都市対抗は絶好のアピールとなる真剣勝負の場です。
観戦した中から、秋にはドラフトにかかる人が出ると、「あー、あのとき見た彼だ」なんてこともよくありまして、楽しみの1つになります。
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さて、ここまで私が社会人野球を紹介したのは理由がありまして、先日久しぶりに社会人野球の選手をしていた知り合いと酒を飲む機会がありました。
その彼は数年前に引退して、今は総務系の社業に専念して、野球部を裏からサポートしているのですが、その酒の席で、試合でも練習でも、見に来てくれる人が1人でも多ければ多いほど選手の励みになるのだと言っておりました。
だから今は地元の人に野球部を知ってもらい、少しでもいいから興味を持つ人を増やしたいと活動していると聞き、陰ながら力になればと筆を取った次第です。
こんなところでウダウダ書いてもたかが知れているとは思いますし、彼のチームを直接支援できるわけでもありませんが、対戦相手がいてこそスポーツは成立するものです。
野球が人気スポーツの一強だった時代は過去の話。選手人口も年々減る中、社会人野球もその傾向に変わりはありません。
この話を聞いて、少しでも地元の社会人野球チームに興味をもっていただける人がいれば幸いと思い、拙作の締めの言葉とさせていただきます。
お読みいただきありがとうございました。