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第49話:罪の在処04


 頭の悪い水着エプロンは当然ながら鏡花と朱美もしていたけどここでは割愛。思い出すだけで疲労する。学生らしく勉学に励んだ後は、またフレイヤ邸に戻る。あと数日で鶏冠高校の文化祭だ。俺たちはほとんどの作業を終了していた。


 残っているのは、


「ふやぁ」


 朱美のメイド服のみだ。とはいえ文化祭には間に合う予定なのであまり心配はしていない。フレイヤと鏡花の指導の下なんとか形には出来ている。俺は我関せず。自身のメイド服はもう出来ている。黒いエプロンドレスであるからゴスロリの印象はあるもののウィッグを被れば中々似合っていた。あまり嬉しいことでもないにしても。


「…………」


 黙々と私室でスマホを弄る。小説の執筆。俺の趣味だ。


「金也ちゃ~ん」


 私室の間仕切りがノックされる。フレイヤだ。


「どうぞ」


 そんな俺の音声認識で私室の鍵が解錠される。


「金也ちゃん!」


 ジャンピングハグ。俺が突貫してきたフレイヤを受け止める形。


「何の用だ?」


「お勉強しよう?」


「宿題なら終わってる」


「勉学のことじゃ無いよ?」


「じゃあ何だ?」


 俺に抱きついて、俺と至近距離の顔と顔。エメラルドの瞳に俺が映っていた。いい加減にして欲しいところだが馬に念仏を唱えるようなものだろう。嘆息。スッとフレイヤは離れて、廊下へと去ると、今度は分厚い本を持って俺の私室に再度入ってきた。


「お母さんらしいことするよ!」


 意気軒昂に言ってのける。嫌な予感しかしないのは何だかな。


「教科書を用意しました」


「教科書ね」


「はい」


 と押し付けられる。手にとって表紙を見る。肌色の鮮烈な表紙だった。


「…………」


 まさかと思った。概ね嫌な予感は当たった。


 パラパラと教科書のページをめくる。


「で?」


「とは?」


「どういうことだ?」


「だからお勉強」


「母親らしいことをしたいんじゃなかったのか?」


「今まさに」


「教科書ってこれか?」


 俺が本を掲げると、


「うん!」


 躊躇なく言われた。感嘆符付きで。


 ――大丈夫かコイツ?


「何でエロ本が教科書なんだ?」


 そういうこと。


「子どもの性教育もお母さんの役目」


 グッと胸元で両手を握りしめるフレイヤだった。俺は爽やかに笑う。


「病院行け」


 他に何を言えと?


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