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第25話:乙女心の行く先は05


「金也ちゃんの好みが分からなかったからおにぎりと唐揚げと酢豚と――」


 いわゆるお弁当の定番メニューを揃えて重箱に詰めたらしい。


「さすがにここまで先回りされていらんとは言えんな」


「兄さんは料理の得意な女の子が好きなんですか?」


「絶対では無いが加点対象ではある」


「むむむ……」


 だいたい言いたいことは分かるがな。


「じゃあ食べよう!」


 そういうことになった。


「いただきます」


 を合図に昼食開始。ちなみに俺が鏡花と朱美とフレイヤと一緒に昼食を囲んでいる姿には嫉妬と軽蔑の視線が集まったが、もう慣れた。


「ほう」


「へぇ」


「ふわ」


 弁当を一口。財閥のお嬢さんからは想像も付かない完成度。その弁当に俺たちは驚いた。


「前世では鉄ちゃんのためにお弁当作ってたし」


 とのこと。


「やるじゃないか」


「美味しいですね」


「うん……本当に」


 そゆことだった。


「えへへぇ。照れるね」


 そう言ってフレイヤはエビチリのエビを箸で掴むと俺の口元に差し出した。


「金也ちゃん?」


「何の真似だ?」


「あーん」


「恥ずかしいぞ」


「いいじゃん。親子のスキンシップ」


 敵を作るのが得意だな、お前……。


「あー……む」


 エビチリをもむもむ。


「美味しい?」


「上出来だ」


「にゃはは」


 機嫌良くフレイヤは笑った。


「むむ」


「むぅ」


 まったくだが鏡花と朱美には面白かろうはずもない。


「フレイヤ?」


「何?」


「今度からは私もお弁当作りに協力させて貰います」


「あたしも。あたしも」


「うん。じゃあ皆で作ろう」


 あっさりとまぁ。


「私の息子はこんなに可愛い女の子たちにモテモテで嬉しいなっ」


 ルンと弾むような口調だった。無邪気というか天然というか。


「…………」


 それから更に用意周到に食後の茶まで振る舞う始末。有り難く俺たちは飲んだ。ルイボスティー。キンキンに冷えており、まだ残暑厳しいさなかに体温を下げてくれる。さすがに元人妻経験者は格が違う。


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