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第24話:乙女心の行く先は04


 文化祭の準備期間中は午前授業である。半ドン。午後からは各サークルが文化祭に向けてプランニングや準備等々の時間に追い回される。その前に昼食があるにしても。


「さて、何食おうかね?」


 ウェストミンスターチャイムの音を聞いて、四時限目の担当教師が退室した後、俺は背伸びをしながら学食のメニューを脳内で閲覧した。


「兄さん」


「金ちゃん」


 両隣の二人がすり寄ってくる。


「何を食べましょう?」


「何食べる?」


「とりあえず学食かね」


 俺が疲労しながら言うと、


「ちょっと待った」


 ちょっと待ったコール。フレイヤである。


「何か?」


 背後の席の彼女に振り返る。


「お弁当作ってきたから一緒に食べよ?」


 無邪気な笑顔で言ってくる。清々しいくらい晴れやかな表情だ。一点の曇りも無い。なるほど。父親が惚れたのも頷ける。


「弁当なんて何時作った?」


「朝早く起きて」


「さいですか」


 そしてフレイヤは自分の机に包まれた重箱をデンと置いた。


「そりゃまた豪勢な……」


「鏡花ちゃんと朱美ちゃんの分もあるからね。四人分のお弁当」


「私も……ですか?」


「あたしも?」


「そりゃもう。息子のガールフレンドなんだから」


「ガール……」


「フレンド……」


 なに照れてるお前ら。


「ていうか弁当なんて作らなくともゴールドーン様は贅沢できるだろ」


「知ったこっちゃないね」


「フレイヤ?」


「私のおっぱい吸いたくなった?」


「「「「「ブーッ!」」」」」


 教室に残って弁当をつついていた愛すべきクラスメイトたちが噴飯した。


「お前のおっぱいはいらねぇよ」


 他に言い様もない。


「照れちゃって」


「滅びろ。で、どこから取り出した?」


「学生鞄に」


 入るか?


「ほら、私は大学卒業した身だし。高校の教養程度は教科書もノートも要らないから」


「だからって弁当持ってこんでも……」


「言ったでしょ? 私は金也ちゃんにお母さんらしいことをしてあげたいって」


「つまり?」


「可愛い子どものために学校のお弁当を作ってあげる。これ即ち母の義務。イエィ!」


 サムズアップ。何となく分かってきたがこいつと話すと疲れるな……。


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