うさ画像SS_うさぎ戦隊モフいんジャー
ウサ画像を貼りたいだけのSSです。by Midjourney画伯
画像がお気に召しましたら、年始の挨拶にどうぞ。
「マリエラさん、マリエラさん。ポーションを作ってくださいませんか、マリエラさん」
マリエラを呼ぶ声に振り向くと、そこは見慣れぬ草原だった。シロツメクサの花が咲く明るく気持ちのいい場所だ。
「マリエラさん、ここです。下、下」
「え? うさぎさん?」
呼ばれて見下ろしてみると、なんとそこには小っちゃ可愛いモフモフが2本脚で立っていた。ポーションを寄越せと言うだけあって、これから戦いにでも行くのだろうか、金属製の鎧を着こんで武装している。
「確かに僕はうさぎですが、ちゃんとカロッテという名前があるんです。僕はマリエラさんのことを人間さんとは呼ばないでしょう? だから僕のこともちゃんとカロッテと呼んでください」
「あ、ハイ。カロッテ……さん?」
「カロッテで結構です。なんならカロちゃんでもいいですが。それよりポーションが欲しいのです」
カロちゃんは、ちょっぴりめんどくさいウサらしい。もっとも、めちゃくちゃ可愛らしいからなんだって構わない。
「カロちゃんは、どうしてポーションが欲しいのかな?」
こんな可愛いカロちゃんが、怪我をしては可哀そうだ。お母さんが怪我をしたとか、そういうお遣いだったらいいのだが。
「ハイ。僕はこの度、勇者に選ばれまして。魔王を倒しに行くのです」
「まおう……」
ウサとは思えぬ血なまぐさい目的だった。自然界ではみんなのゴハン的な位置づけで、ペット界ではぬいぐるみ的アイドルポジのウサなのに、戦いに赴くというのか。もしかして、ウサっぽいのは見た目だけで、中身は益荒男だったりするのだろうか。それとも魔王もウサなのか。
「だから、僕にポーションを作ってください。ニンジンで!」
「うさぎじゃん!」
マリエラは軽く頭を抱えてしまう。ニンジンポーションをリクエストするなんて、カロちゃんは見た目も中身もウサちゃんだ。いや、それ以前に、ニンジンで作るポーションなんて、そんなレシピをマリエラは知らない。
「カロッテよ、無理を言うでない。マリエラ殿が困っておられるではないか」
「これはコール騎士団長どの!」
頭を抱えるマリエラの前に、もう一匹モフいのが増えた。カロちゃんよりも凝った鎧を着ていると思ったら、なんと騎士団長なのか。言われてみればカロちゃんよりも毛並みがいいし、なんだかキリっとしているように見える。ウサだけど。血統書とかあるのかもしれない。
「なに、我らはうさぎゆえ草食ではあるが、ニンジンしか食べられぬというわけではない。使ってくれて構わないのだぞ、……キャベツもな」
「キャベツかぁ……」
「うむ。外側の色の濃い葉っぱが至高!」
外側だろうと芯だろうと、残念ながらキャベツもポーションの素材にならない。可愛い鼻をフスフスしながら格好つけて何を言っているのか、このウサは。
マリエラは、なんだかこのウサたちをモフり倒したくなってきた。確かうさぎは鼻の頭からおでこ辺りを撫でてやると嬉しいのではなかったか。彼らは武装しているが弱点のおでこは丸出しだ。これはワンチャンあるかもしれない。
邪な考えを抱き始めたマリエラに気付いているのかいないのか。2匹の毛玉はフスフスしながら会話を始める。
「どうしてここにコール騎士団長が」
「騎士団長の職は辞してきた。カロッテ一人に重責を背負わせるわけにはいかぬからな」
「なんと! では、コール騎士団長も!?」
「うむ、我も行こう」
旅の仲間が増えたらしい。分かりやすい展開だ。それより、キャベツとニンジンでどうやってポーションを作ったらいいのか。
「ぽくも、いくー」
「わっ、また増えた! って……かわいい!」
二度あることは三度ある。うさぎピョコピョコみピョコピョコ。
三匹目のウサちゃんは、少しぼんやりした感じの、やたらと可愛いウサだった。今までの二人と比べて軽装で、モフモフがたくさん露出してしまっている。なんて、隙だらけなウサなのか。
マリエラはモフモフしたくて辛抱堪らなくなってきた。
「ぽく、マイス。魔法がね、使えるの」
このウサギ、自分のことを“ぼく”じゃなくて“ぽく”っていってないか? 可愛すぎではなかろうか。
「ぽくはね、とうろもこしが、すきー」
「トウモロコシかー。おしいなぁ。ライナス麦じゃだめ?」
「ぽく、とうもころしの、ひげがすきなのー」
「ひげかぁー」
可愛いは正義とは至言であり名言だ。モフモフパワーでなんでもできるに違いあるまい。
「だんちょー! 我らもいきますぞー」「だんちょー! ついていきますぞー」
遠くから聞こえる声と共に更に増える兎たち。今度はコール騎士団長の部下らしい2匹のウサが遠くからピョンこらピョコピョコと走って来る。
「いそげ、弟よ」「あい、兄ちゃん」
「準備はいいか、弟よ」「いいよ、兄ちゃん」
「武器は持ったか弟よ」「ないよ、兄ちゃん」
「準備良くないじゃないかぁ、弟よー」「そうだねぇ、兄ちゃんー」
走りながら交わされる会話から、どうやらおっちょこちょいな兄弟ウサらしい。
だが、それもよし。もふけりゃすべてが許される。
うさぎも5匹集まれば、立派なモフモフ戦隊だ。
「二人の好きな食べ物は?」
「リンゴ!」「バナナ!」
コールはキャベツでマイスはトウモロコシだから、この2匹のウサの名前はアプフェルとバナーヌとか言うのだろう。
うさぎが5匹集まって、材料も5種類集まった。それがきっかけだったのか、なんだかマリエラはウサ専用ポーションが作れるような気がしてきた。
「《錬成空間》――」
■□■
「っていう、夢を見たの」
「……そうか。新しい毛布はフカフカだからな」
夢の話というのは返答に困るなと思いながら、ジークはマリエラの夢の話に相槌を打つ。確かに買ったばかりの毛布はすべすべのフカフカで、包まってもぞもぞしたくなる気持ちよさがある。
そういえば今日は、どこかの国では赤い衣装の老人が子供に贈り物をくれる日だという。人々が寝静まった夜間にこっそりというのは奇妙ではあるが、精霊の一種なのかもしれない。
迷宮都市にそんな風習はないけれど、マリエラが見たとか言うモフモフ天国な夢は、酔狂な精霊からのプレゼントなのだろう。
聖なるモフをあなたに――。
12/31に告知SS兼リクエストSSを更新です。今年度、もう1話お付き合いください。




