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私が征夷大将軍⁉~JK上様と九人の色男たち~  作者: 阿弥陀乃トンマージ
第三章 九つの州へ

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手鎖をかけられる絵師

「ううっ……」

「やっぱり弾七さんだ!」

「おおっ、アンタ、上様か、会えて良かったぜ……」

「……これはどういう状況です?」

「よくぞ聞いてくれたな、爽ちゃん……」

「それは聞くでしょう……」

 爽が呆れた目線を向ける。

「俺にも分からねえんだよ……朝一番に長崎について、町をウロウロとしていたら、サイン攻めに遭ってよ……」

「サイン攻め?」

「一応、当代きっての人気浮世絵師ですからね、この方……」

「そっか、単なるチャラ男じゃなかったっけ」

「散々な認識だな!」

 弾七が葵と爽のやり取りにツッコミを入れる。爽が問う。

「失礼、それで?」

「ファンは大事にしないといけないからな、サインやら写真撮影に応じていたら、いきなりお役人たちに囲まれてよ……」

「ええ?」

「気が付いたらこれよ……」

 弾七は自らの両手にかけられた鉄製の手錠を見せる。葵が戸惑う。

「て、手錠……本物初めて見た……」

「橙谷さん、ついに罪を犯してしまったのですね……」

「犯してねえよ! ついにってなんだ、ついにって!」

 弾七が爽の言葉に反発する。葵が尋ねる。

「それじゃあ、なんで?」

「だから俺が聞きてえよ……!」

「ご説明しましょう……」

 葵たちの側に、スーツ姿の男性が近寄ってくる。爽がはっと気が付く。

「貴方は……長崎奉行所の」

「伊達仁様、どうも……」

 男性が頭を下げる。爽が尋ねる。

「これはどういうことなのでしょうか?」

「恐れ多くも、上様にご説明させていただきます……」

 男性は葵に頭を下げながら、出来る限りの小声で説明を始める。

「は、はあ……」

「この長崎の地でこのような絵が出回っておりまして……」

「こ、これは……!」

 男性から差し出された数枚の紙を見て、葵は驚く。爽が目を細める。

「美人画ですか? まるで写真のような出来栄え……」

「これらの絵が、大層な評判を呼んでいたのですが……」

「ですが?」

「この絵のモデルとなったと思われる女性たちから、抗議が殺到しておりまして……」

「抗議ですか?」

「はい。曰く、『自分たちを勝手に絵に描かれてとても迷惑している』と……」

「ほう……」

「奉行所としてもこれは捨て置けぬということで、絵の流出先を追いかけたところ……」

「人気浮世絵師であるこの方に行き着いたと……」

「そういうことです」

 爽の発言に男性が頷く。弾七が抗議する。

「いや、おかしいだろ! まずは絵を売った店とかに当たれよ! 俺はなんの関わりもねえってことがすぐに分かるはずだ!」

「……とおっしゃっていますが?」

「確かに店側などからはなかなか尻尾が掴めなかったのですが……これほどの見事な出来栄えの絵を描ける者は天下広しといえども、そう多くはありません。そこに、この男が長崎の町に現れたという知らせ……点と点が繋がり、一つの線となりました」

「全然繋がってねえよ! ガバガバな推理じゃねえか!」

 男性の説明に弾七が声を荒げる。男性が冷静に話す。

「現状、もっとも疑い深い容疑者であることは間違いありません」

「容疑の段階で手錠をかけんな!」

「弾七さん……」

 葵が気の毒そうな顔で弾七を見つめる。

「や、やめろ! そんな顔で見るな! 俺じゃねえよ!」

「う~ん……」

「俺が信じられねえのかよ!」

「そうだね」

「即答⁉」

 葵の答えに弾七が愕然とする。葵が男性に問う。

「どれくらいの罰になるんですか?」

「前例などから鑑みて……約五十日間このまま手錠をつけたままになるかと思われます」

「まさか牢屋に入るんですか?」

「いえいえ、そこまでではありません。自宅で謹慎……この者の場合は長崎在住ではありませんので、奉行所の方で預かるという形になるかと」

「そうですか」

「いや、そうですかじゃねえよ!」

 弾七が叫ぶ。葵が微笑む。

「そこまで重い刑じゃないから良いんじゃない?」

「良くねえよ!」

「これを良い薬として、今後は素行をあらためてくれれば……」

「薬にしてはキツいんだよ」

「良薬は口に苦しって言うし……」

「苦すぎる!」

 弾七の騒ぎを横目に爽が呟く。

「……葵様の一声があれば、刑も軽減されるかもしれません……」

「そ、そうだ! 一声頼む!」

「う~ん……」

 葵が腕を組む。

「悩むのかよ! 同じ将愉会のメンバーだろうが!」

「……」

 葵がじっと弾七を見つめる。

「な、なんだよ……」

「本当に描いてないんですか?」

「⁉ そ、そうだ! そもそも描いていないんだよ! 身に覚えが全くねえ!」

「ふむ……」

 葵が顎をさする。爽が尋ねる。

「葵様?」

「……私たちで捕まえよう」

「はい?」

「この写真のような絵を描いた人物をさ」

「よろしいのですか?」

「困っている弾七さんを放ってはおけないでしょ?」

「おお……持つべきものは上様だぜ……」

 葵の言葉に弾七は感激する。

お読み頂いてありがとうございます。

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