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竜の女王  作者: M.D
2170年夏
97/688

04

 今日は終業式のため、全校生徒が講堂に集まり、校長先生の話を聞く。


「皆さん、おはようございます。 」

「「「おはようございます。」」」


「さて、早いもので明日から夏休みになりますが、始業式から本日までの皆さんの充実度はどうだったでしょうか?1年生にとっては初めての高校生活でしたが修学旅行もあり、楽しく過ごせたのではないでしょうか。・・・・」


(どうして行事のたびに校長先生の話を聞かないといけないのか。)

(樹君は毎回文句を言っているよね。こういう儀式には挨拶がつきものだからじゃない?)

(そうかもしれないけど、全校生徒を集めて1人の話を聞く、なんて全員の時間を拘束するのは無駄だと僕は思うんだけど、美姫さんはどう思う?)

(校長先生の話なんてちょっとの間だけなんだから、我慢してればいいのに。)

(僕が言いたいのはそこなんだ。普段は『高校生としての時間は短いから、1分1秒を無駄にしないように』とか言っておきながら、こんなふうに全員の時間を拘束して無駄にするのは言動不一致なんではなかろうかと。)

(まぁ、そうとも言えなくはないけど、屁理屈よね。)


 そうこうしているうちに、校長先生は挨拶の締めにかかった。


「・・・・夏休み明けに後悔をしないようこの夏休みを充実したものとして過ごし、また始業式では元気な顔を見せてくれることを期待して、終業式の挨拶とします。」



 終業式を終え、それぞれの教室へ向かう。


「樹は、夏休みはどうするんだ?」

「生徒会の人達と鎌倉旅行に行って、その後は実家かな。」


 実際には美姫さんと特訓をする予定なのだが、妬みそうなので言わないでおく。


「聡は?」

「樹は楽しそうな夏休みでいいな。俺はずっと姉貴と特訓。今から憂鬱だ。」

「陽菜さんと?大変そうだけど、まぁ、頑張ってくれ。」


「あれ?樹は俺の姉貴のこと知っているのか?」

「陽菜さんは百合子さんの友達、ってことで紹介されて、たまに話をする程度には知ってる。」

「そうだったのか。樹が姉貴に惚れることはないと思うが、万が一のことがあっても姉貴はやめておけ。」

「理由は?」

「脳筋だから、樹とは合わない。」

「ハハハ。百合子さんも陽菜さんのことをそう言っていた。」

「それに、姉貴はロンドン大学に留学することを考えているから、もし入学出来たら4年間は遠距離になるしな。」


「ということは、陽菜さんも百合子さんと同じ留学組か。百合子さんは魔法使いについて研究するためにヒューストン大学を目指しているって言ってたけど、どうして陽菜さんはロンドン大学なんだ?」

「前に言ったと思うが、俺たちは”銃剣系”とはいっても剣の方に適正がある剣型だから、高校や大学を卒業したら治安維持軍に入隊することがほとんどなんだよ。でも、姉貴は悪魔と戦うための部隊に入りたいと考えているから、箔をつけるためにもロンドン大学への留学を希望している、というわけだ。」


「そうなのか。でもどうして、陽菜さんは治安維持軍は嫌なんだ?」

「そりゃ魔獣退治みたいな仕事より悪魔から都市を守る仕事の方がカッコイイからだろう。俺だってそう思う。でも、普通は自分の実力を知って妥協するんだが、姉貴は頑なに悪魔と対峙することを望んでいて、自分にはその実力があると信じているんだ。」

「己の信じる道をいく、ってやつか。」

「あぁ。今のところ、魔法理事国の中で”銃剣系”剣型の魔法使い専門部隊を持っているのはロンドンとパースだけなんだ。そして、ロンドンには”銃剣系”剣型の総本山ともいえるペンドラゴン家がいて、大学に”銃剣系”剣型の専門学科がある。」


「それでロンドン大学か。」

「そういうことだ。世界中から希望者が集まるから競争倍率が高くて、姉貴が入学できるかどうか分からんが。」

「確かに厳しそうだ。」

「でも、姉貴の実力ならロンドン大学にも合格できるんじゃないかと俺は思っているんだ。」

「聡って、意外とシスコンなのか?」

「断じて違う!」


 聡と教室で話をしていると、


「修礼を始めようか。」


 純一先生が入ってきて夏休み前最後の修礼が始まるが、皆夏休みのことで頭がいっぱいで先生の話も上の空だ。


「・・・・ちゃんと先生の話を聞いていたか?短い夏休みだけどダラダラ過ごすことなく、目一杯楽しんで下さい。では、終わります。」


「やったぁー!夏休みよー。」

「明日から徹夜でゲームしまくろうぜ!」

「学校がないから遊び放題ね。」


 純一先生が廊下に出た瞬間に騒ぎ出す生徒が多数。


「樹は東大附属高校に入って初めての夏休み。いい骨休めになるといいな。」

「そうだといいんだけど。」

「それじゃ、また2週間後。」

「良い夏休みを。」


 こうして夏休みが始まったのだった。


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