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竜の女王  作者: M.D
2170年夏
94/688

01

 高校に入学して半年もすると、夕食後にそれぞれの部屋に戻ってから、思考伝達で話をするのは習慣になっていた。


(樹君は夏休みどうするの?)

(一応実家に帰省する予定だけど、夏休みはまだ1ヶ月以上先なんだから、美姫さんは気が早いんじゃない?)

(私なんて百合子さんと比べたら遅いほうよ。百合子さんはもう夏休みの予定を立ててるもの。)

(同意。でも、あの人を見習うのはどうかと思う。美姫さんの夏休みの予定は?)

(私は夏休みの最初に生徒会のみんなで鎌倉旅行に行くくらいしか予定はないよ。)

(『夏には夏らしいことをしないといけない』とか言って、百合子さんが強引に決めたやつか。)

(高校最後の夏を楽しみたいんだって。『ちょうど終業式の日に近くで花火大会があるから、一泊二日で行けば一石二鳥よね』とも言ってたし、あの人は本当に何を考えているのかな?)

(同感。この前なんて水着を買いにつれて行かれてたし。)


(あれ?そうだったんだ。ふーん、樹君は百合子さんと水着を買いに行ったんだ。)

(・・・言ってなかったっけ?)

(うん。)

(ゴメン。。。)

(じゃぁ、今度の日曜日に私も水着を買いに行くから、一緒に行きましょう。)

(了解。)



 次の日曜日に、約束通り美姫さんの水着を買いに連れて行かれた。


「水着売り場ってこんな風になっているんだね。水着を買いに来たことがなかったから知らなかったよ。樹君は知ってた?」

「この前に百合子さんに連れてこられたから知ってた。」

「そうだった、、、樹君の初めてになれなくて残念。」

「他の人が聞いたら、別の意味に捉えそうだ。」

「そう?着替えるから少し待ってて。」


 美姫さんは試着室に入り、服を脱ぐ音が聞こえてくる。


(衣擦れの音を聞いて、樹はいやらしいことを想像してはおらんじゃろうのう?)

(いや、エレナ様の言葉を聞くまでそんなこと思いつきもしませんでした。)

(ということは、今は想像しているという事じゃな。このエロ大魔王が!)

(どこでそんな言葉を覚えてきたんですか。。。)


「お待たせ。」

「美姫さん、その姿は、、、」

「これは肌色の試用水着で、買いたい水着を立体映像で投影して試着するためのものよ。最初は大きいかな、と思ったんだけど、着てみると肌に密着するように縮むなんて、よくできているね。」

「そうじゃなくて、見た目。」


(その姿だとほとんど裸同然じゃ。樹にそんな姿を見せるなんて、ワレは許さないのじゃ。)


「でも、樹君は修学旅行のときにお風呂で私の裸を見たんだから、今更という気もします。」

「そうだとしても、目のやり場に困るんだけど。」

「どうせ百合子さんもこの姿を見せつけてきたんじゃないの?」

「百合子さんは水着を投影した姿しか見せなかったから、水着を切り替える時にちらっと見えたりしただけだった。」

「そうだったんだ。あの女に羞恥心があったなんて。でもそう言われると私も少し恥ずかしい気がしてきたから、さっそく水着を投影してみましょう。」


 美姫さんが画面を操作する。


「本当に水着を着ているように見えるね。」

「同意。でもこれって、僕がいる必要ってある?」

「樹君の意見を聞きたいから一緒に来てもらったんじゃない。百合子さんが水着を選ぶ時も一緒にいたんでしょ。」

「肯定。」

「だったらいいじゃない。ほら、これなんかどう?今一番売れているらしいよ。」


 複雑な構造をした水色の水着が投影される。


「うーん、どうだろう?本物の水着だと、着るときに面倒じゃない?」

「これは樹君の好みには合わないか。」

「僕の好みなんかより、美姫さんがいいと思った水着を買えばいいと思う。」

「そうだ!樹君は細かい花柄が好きなんだったよね。こんなのはどう?」


 黒地に緑色と黄色の細かい花柄が映えるビキニが投影され、一瞬見とれてしまった。


「いい。」

「やっぱり樹君はこういうのが好きなのね。これにしようかなぁ?でも、折角だからもうちょっと見てみようかな。」

「まだ見るの?」

「百合子さんの水着姿もいっぱい見たんでしょ。私の水着姿をもうちょっと見ても罰は当たらないと思うよ。そういえば、百合子さんはどんな水着を買ったの?」

「確かこれだったと思う。」


 画面を操作して、百合子さんが買った水着を美姫さんに投影する。


「うわっ、凄くエロい。」

「美姫さん、親父臭い発言になってない?」

「だって、布地が極端に少ないわけじゃないんだけど、ツルツル素材でいやらしい感じがしない?それに、ところどころハート型の穴が空いていて肌が見えてるし。これって、日焼け後の肌を見せること前提よね。」

「そこが気に入ったみたいだった。」

「百合子さんも攻めるね。私も負けてられない。」


 それから小1時間、美姫さんの水着ショーを鑑賞させられた。


「やっぱりこれにする。」

「僕もそれが一番いいと思う。」


 結局美姫さんが選んだのは、2番目に見た黒地に緑色と黄色の細かい花柄が映えるビキニだった。


「15分くらいで出来上がるんだって。それまで面白そうな水着を投影しながら待ってましょう。」


 美姫さんが画面を操作する。


「こんなのはどう?2番目に布地の少ない水着なんだって。マイクロビキニって言うらしいよ。」

「いや、それは外で着ちゃダメなやつでしょ。」


(こら、樹!美姫のことをじろじろエロい目で見るでないのじゃ!)

(あの姿は裸よりも艶めかしいですよ。そりゃ、エロい目もなります。)

(開き直りおったのじゃ。)

(別に樹君になら見られてもいいですけど。でも、これより布地の少ない水着はほとんど紐だけね。さすがにこれを着た姿を樹君に見せる勇気はないよ。)

(それは水着と言わないのでは、、、)

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