05
「では、補講を始めようか。」
「先生、その前に質問をしてもいいでしょうか?」
補講が始まる前に美姫さんが質問をした。
「なんだい?」
「前回の補講で、父が魔力増幅について研究していたことを説明して頂いたのですが、父がつくった魔力の増幅をするための魔法具が今どこにあるのかご存じないですか?」
「うーん、、、第2 次悪魔大戦で使われた魔法具は壊れてしまってもう存在していないはずだ。」
「そうですか、、、」
「でも、ヒューストン大学の資料庫になら使用されなかった試作品が残っているかもしれないな。」
「ヒューストン大学ですか?」
「興味があるのかい?」
「先生の話を聞いて、父がどのような研究をしていたのか知りたくなったので。」
「そうか。資料庫の中に入るためには、中級魔法使い以上になるか、特別許可をもらう必要があるから、まずは鍛錬をしっかりして中級魔法使いになることを目指そう。」
「はい。」
(父が作った魔力の増幅をするための魔法具はヒューストン大学にあるかもしれないのね。)
(辿り着くのは大変そうだけど、可能性が見えて良かった。)
「今日は前回の続きとして特級魔法使いについて説明しよう。特級魔法使いになるための条件についても私には知らされていないので分からないが、実例や私が見聞きした例から、条件は”単独で”悪魔と対峙可能なことだと思われる。」
「単独で、ってすごいですね。」
「人間をやめた存在でないと無理な気がします。」
「ハハハ。第2 次悪魔大戦での龍野教授の映像を見ていると、樹君の言うことも間違っていないかもしれない。あの映像は望遠の超高画素高速カメラで撮った映像を拡大・コマ送りにして動きが見えるようにしているんだよ。実際の動きは早すぎて、カメラで追うこともほぼ不可能だから、あの映像をとれたこと自体、奇跡に近いと言われているしね。」
「そうだったんですか。」
「特級魔法使いになるための条件は、”単独で”悪魔と対峙可能なことだと思われる、と説明したけれど、普通に考えてそんなことは樹君の言うように人間をやめた存在でないと無理だ。だが、それを可能にする”神話級”の魔法具があるとすれば、どうだい?」
「”神話級”というと、途端に胡散臭くなりますね。」
「そう思うのも仕方ないかもしれないが、世界にはいくつか実在していているとされている。神話に出てくる武器の一部はそのような魔法具ではないか、という説もあって、”神話級”の魔法具と呼ばれているんだ。」
「エクスカリバーとかですか?」
「エクスカリバーもロンドンのペンドラゴン家が保有する”神話級”の魔法具の一つではないか、とされている。ペンドラゴン家は”銃剣系”剣型の総本山みたいな家系だから、あり得ない話じゃない。」
「でも、第1次悪魔大戦では世界中が戦争になったので、”神話級”の魔法具が使われなかったということはないでしょうから、存在が明らかになってもおかしくなくないでしょうか?」
「確かにそのとおりだが、可能性は2つ考えられる。1つは”神話級”の魔法具は持ち手を選ぶと言われているから、第1次悪魔大戦時に持ち手が現れなかった可能性。もう1つは、大量の悪魔との混戦になったため、”神話級”の魔法具を使う特級魔法使いがいたとしても、その存在が埋没してしまった可能性。アフリカでは悪魔を食らう光の蛇を見た、という人が多いから、”神話級”の魔法具が使われたのではないかと言われているんだ。」
「なるほど。ありがとうございした。」
「最後は外級。外級魔法使いになるための条件は、初級魔法使いであって、自身が属する魔法系統に加えて系統外魔法を使えること。中級魔法使いの方が格が上だから、系統外魔法が使ても外級魔法使いとは呼ばれない。」
「”大砲系”、”銃剣系”、”楯系”の魔法系統に属さない魔法があったんですね。」
「系統外魔法は遺伝しないと言われているから、魔法系統を作れないのよ。」
「さらに言うと、魔法系統に左右されず全ての魔法使いは何らかの系統外魔法を扱う能力は有しているけれど、”使える”という程度の能力を有している魔法使いは少数だから、外級という階級が作られているんだ。」
「普通の人と魔法使いとの差に似てますね。」
「系統外魔法にはどのようなものがあるのでしょうか?」
「良く知られている系統外魔法は治癒魔法だな。」
「ゲームでは定番の魔法ですね。」
「樹君のように、皆、最初はゲームと同じような効果を期待するんだが、治癒魔法を使ったからと言って一瞬で回復するわけでもないし、切られて無くなった腕が生えてくるわけでもないと知って残念がるんだ。」
「現実ってのは厳しい。。。」
「治癒魔法は自然治癒力を高める効果があるだけで、人体が治せる傷とかにしか対応できないけれど、通常の10から100倍の速さで傷が治るし、複数人に対応できる魔法使いもいるから、戦場ではとても役に立つ魔法なんだけどね。」
「系統外魔法が使えるかどうかはどうやって判断するんでしょうか?」
「今のところ実際に使ってみるしか方法はない。高校を卒業する前に我が国が保有する外級魔法使い用の魔法の腕輪を使って判定を行っているから、美姫さんと樹君も検査を受けることになる。」
「樹君も外級魔法使いになれるかもしれないよ。」
「美姫さんの方が可能性が高い気がするけど。」




