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夕食後にそれぞれの部屋に戻ってから、今日の補講内容について話をした。
(美姫さんのお父さんって、悪魔を倒せる最強の魔法使いだっただけでなく、ヒューストン大学で画期的な魔法具を発明できるような天才的な研究者でもあったなんて、凄すぎる。)
(私にとっては優しいお父さん、て感じだったんだけどね。)
(それで、今日の補講を聞いて気が付いたんだけれど、美姫さんのお父さんが研究していた魔力増幅具を使えば、エレナ様が天界に帰るための精神エネルギーなんて簡単に充足できてしまうように思えたんだけど、美姫さんはどう思う?)
(私も純一先生の話を聞いて同じことを考えたよ。)
(やっぱり。)
(だから、父が作った魔力増幅具を探し出したい、と思ったんだけれど、どこにあるのか見当もつかないよね。)
(純一先生だったら知っているじゃない?)
(そうね。純一先生が知っているのなら探すより早いよね。次回の補講の時にでも聞いてみることにするよ。)
純一先生が知っていれば一歩前進だ。
(エレナ様は魔力増幅具についてどう思われますか?)
(精神エネルギーを増幅できる物を作ってしまうとは、人間も侮れんのう。しかし、精神エネルギーの増幅できる物があったとして、肝心の精神エネルギーの方をどうするかじゃのう。)
(そうですね。)
(樹の精神エネルギーは微々たるものじゃし、ワレが美姫の魂から分化して、美姫から精神エネルギーの供給を受けても良いが、足らんかった時が問題じゃ。)
(足らなかったときは、また美姫さんの魂と結合すればいいんじゃないですか?)
(樹は上級魔法使いとやらが発狂したことを忘れたのかのう。たった十人分の精神エネルギーを受け入れただけで発狂してしまうのに、強大な精神エネルギーを有することになったワレが美姫の魂と結合するのじゃ。慎重にせんと美姫の魂を壊してしまうのじゃ。)
(確かに。思慮が足りませんでした。)
(それにワレが美姫の魂から分化した時点で、悪魔どもにワレが地球におることが知られてしまうじゃろう。そうなれば、慎重に魂の結合を行う時間があるかどうか分からんしのう。)
(ごもっとも。)
(ということは、私と樹君が魔力量を上げればいいんだから何とかなるんじゃない?)
(美姫さんって前向きだね。)
(樹君となら何とかやれそうな気がするの!)
(その台詞、前も聞いたことがある気がする。でも、まぁ、頑張るよ。)
(微力ながらワシらもお手伝いさせて頂きます。)
ザグレド(黒猫)は夕食後に僕の部屋に来てくつろぎ、寮長の部屋に戻って寝る、というのを日課にしている。
(グレンたちも手伝ってくれるのじゃ。ワレも美姫と樹の精神エネルギーの底上げに今以上に協力するとしようかのう。)
(お手柔らかにお願いします。本当に。)
(そう言わず期待しておるのじゃ。)
(後は、魔力の増幅をするための魔法具を見つけたとして、それを使わせてもらえるかどうかが問題ですね。)
(それについては心配いらんのじゃ。美姫がその魔法具に触れることができれば、ワレとグレンでその物質構成を解析できるじゃろうから、同じものを作り出すことが可能なのじゃ。)
(さすがはエレナ様。その解析能力の高さには感服致します。先の第9次聖魔大戦においても、エレナ様の解析能力に助けられたことが何度あったことか――――)
ザグレドがエレナ様を褒め称えるために出てくる姿は、まるでエレナ教の信者のようだ。
(エレナ様は第6王領の女王様なのだ。俺が信者であっても何もおかしくない!)
(屁理屈。)
(旧イギリスも国王がイングランド国教会の首長だったんだから、ザグレドさんの言い分もおかしくないかもね。)
(ほらみろ。)
(美姫さんまで。。。)
(魔法具の物質構成を解析するには結構な演算量が必要なんじゃないんですか?)
気を取り直してエレナ様に質問する。
(そうじゃろうのう。樹がぶっ倒れるくらい脳ミソを酷使する必要があるかもしれんのう。)
(そんなことされたら脳細胞が壊れてしまうじゃないですか。)
(大丈夫じゃ。樹は脳ミソを1/10も使っていないのじゃから、ちょっと壊れたくらいで支障は出ないのじゃ。)
(いつも僕だけが被害を受ける。。。)
(そうです。解析の時の私にも負担をまわして下さい。)
(エレナ様もそのくらいは分かって言っておられるようなのですな。)
(そうじゃ。ちょっとした冗談だったのじゃ。それを真に受けるとは樹も冗談の分からん奴じゃのう。)
(いつもの己の行いを鑑みて言って下さい。)
(・・・。)
(・・・。)
(何じゃ、美姫もグレンも擁護なしとは酷いのじゃ。まぁ、樹がぶっ倒れるくらい脳ミソを酷使する必要があるのは、その場で解析を行う場合じゃ。物質構成を吸い出しておいて解析は後から行えば、吸い出すときにちょっとフラッとくるくらいで済むのじゃ。)
(なら最初からそう言って下さい。)
(ちょっとした冗談だ、と言ったじゃろう。ちょっとしたお茶目じゃ。)
(全然ちょっとじゃない。。。)




