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竜の女王  作者: M.D
2170年春
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32

 百合子さんの対策もあり、紫さんは無事副会長に当選した。本日は新生徒会役員による第一回生徒会役員会議の日である。


「定刻になりましたので、第一回生徒会役員会議を始めます。司会進行は涼宮紫が務めさせて頂きます。まずは新生徒会長から開会の挨拶をお願いします。」

「桐谷諒太です。生徒会長に選任され、身が引き締まる思いであります。」

「何が、『身が引き締まる思い』よ。」

「高科、茶化さずに挨拶を聞いてやれ。」

「分かったわよ。」

「本日は第一回生徒会役員会議ということで、旧会長と旧副会長にも参加頂いていますので、貴重なご意見を頂ければ助かります。さて、えーっと、、、百合子さんのせいで何を言おうとしていたのか忘れてしまったのですが、本日の生徒会役員会議の目的は、引き継ぎを兼ねて旧生徒会役員と新生徒会役員の情報共有にあります。お互いのことをよく知っておくことは今後の生徒会運営に重要なことだと思いますので、短い時間ですが有意義な会議となることを祈念致しまして、開会の挨拶に変えさせて頂きます。」


「ありがとうございました。会長と副会長は生徒会選挙で所信表明を済ませていますので、新しく選任された書記と会計から自己紹介を兼ねて所信表明をして頂きます。では、龍野さんお願いします。」

「生徒会書記に選任されました龍野美姫です。魔法系統は”銃剣系”です。高校に入学してからまだ半年しか経っていないため、分からないことや至らぬ点が多々あると思いますが、伝統のある東京大学附属高校の生徒会の名を汚さぬよう努力致しますので、よろしくお願いします。」

「ありがとうございました。では、佐伯さんお願いします。」

「佐伯弘子です。頑張りますので、よろしくお願いします。」

「それだけ?」

「これだけ。」


「諒太、何故佐伯さんを会計に選んだのか私は聞いているけど、改めて皆の前で説明して頂戴。」

「高科、折角涼宮がちゃんと議事進行しているのに、空気を乱すな。」

「堅苦しいのは嫌いなのよ。大体、こんな進行の仕方を始めたのはあなたで、その前はもっと緩い感じだったわよ。紫もこんな形式ばった進行方法は嫌よね?」

「そうですね。高校の生徒会なので、私もここまでする必要はないと思います。」

「お前たちは、、、」

「だいたい、源蔵は真面目すぎるのよ。もっと肩の力を抜いて生きたほうが楽よ。」

「俺は公私をきちんとしているだけで、高科が不真面目すぎるんだ。」

「諒太はどうなの?会長権限でビシッと方針を決めてしまいなさい。」

「俺も和気藹々とした雰囲気の方が好きなので、ここまで形式ばる必要はないと思います。」

「桐谷もか。分かった。俺はもう生徒会役員じゃないから、お前たちがそうしたいなら仕方ない。」


「で、何故佐伯さんを会計に選んだのか皆の前で説明して頂戴。」

「背が低くて童顔なのに、胸が大きいんですよ。しかもメガネっ子ですよ。最高じゃないですか。佐伯さん以外を選ぶ理由なんてないと思いませんか。」

「やはり桐谷は真正のロリ――――」

「ごほんっ。」


 諒太さんが咳ばらいをして、源蔵さんを睨む。


「それはそうと、佐伯さんが会計の候補にあがっていたのは知っていたが、他にも優秀な男子生徒がいただろう?」

「俺は”萌え”って大事だと思うのです。」

「何だって?」

「萌です。萌え。それに、男子生徒なんか選んだら生徒会がむさくるしくなるじゃないですか。生徒会長をやらされるんだから、生徒会活動を楽しもうと思える陣容にしたかったわけです。」


(会計を選んだ理由が百合子さんと同じね。)

(どちらもむさくるしいのが嫌いとか、似た者同士なのかもしれない。)

(諒太さんが百合子さんの影響を受けているからかもしれないけど。)

(百合子さんが曲がった根性を叩き直したとか言ってたから、美姫さんの言うとおり、百合子さんに感化されて思考が似てきたのかも。)

(朱に交われば赤くなる、ってことね。)

(例えとしてどうかとは思うけど、間違ってはなさそう。)


「そんなくだらない理由で佐伯さんを選んだのか。」

「そうですよね。私も反対したんですけど、会長権限だ、って押し切られたんです。佐伯さんも迷惑よね?」

「別に。」

「そ、そう?会計になりたかったから、仕方がなく受け入れたとか?」

「違う。」

「佐伯さん、桐谷に言いたいことがあったら、言ってもいいんだぞ。」

「特には。」

「そうか。」

「佐伯さんもああ言っているんだから問題ないんじゃないかしら。私も諒太から人選と理由を聞かされた時には反対しようかとも思たけれど、まぁ、何とかなるわよ。」


「無責任だな。しかし、生徒会活動には力仕事も結構あるだろ。その時はどうするんだ?俺たち2人でも大変だったのに、今期は桐谷1人になるんだぞ。」

「それも考えたんですけど、その時は誰かに頼めばいいと思ったんですよ。」

「頼んだ生徒には他の用事があるかもしれんし、すぐに手伝ってくれるとは限らんだろう。」

「そうよ。桐谷は男子の友達が少ないんだから、手伝ってもらえない可能性の方が高いと思うけど。」

「紫は一言多いんだよ。」


「そこで、樹の登場よ。」

「高科、何を言っているんだ?」

「何って、樹には補助員として生徒会に参加してもらおう、ってことよ。」

「僕が強制連行された理由はそれですか。」

「私もどうして樹君が百合子さんに連れてこられたのか不思議だったんです。理由を聞いても『そのうち分かるから』って教えてくれなかったですし。」

「生徒会の補助員なんて、今までなかっただろう。」

「前例がなければ作ればいいのよ。それに、生徒会の運営にボランティアで参加してもらうことも今まであったし、樹は補講を受けているからどのクラブにも参加していなくて、時間に融通が利くのよ。」

「確かに俺一人ではきつい仕事もあるから、樹が補助員として生徒会に参加してくれると助かりますね。」

「桐谷、お前まで、、、」


「生徒会の運営方法は役員に一任されているんだから、運営に関わる決議に参加しないのであれば、補助員をおくことに問題はないはずよ。」

「確かに高科の言うとおりだが、、、」

「美姫さんも樹が生徒会に参加するのは賛成よね?」

「私も樹君が生徒会に参加してくれるとうれしいです。」

「そうよね。諒太、決を採って頂戴。」

「分かりました。樹が補助員として生徒会に参加することに賛成の人は挙手して下さい。」


 新生徒会役員の4人全員が手を挙げた。


「決まりね。樹は生徒会の補助員としてキリキリ働くこと。いいわね。」

「僕の意見は聞かないんですね。いいですけど。」

「いいわね。」

「了解。」

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