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竜の女王  作者: M.D
2170年春
75/688

24

(じゃが、仮初の魂の器じゃと精神エネルギーが駄々洩れにになるじゃろう。)

(はい。仮初の魂の器を作ってみたはいいものの、漏れ出した精神エネルギーがすぐに魔力探知機に探知されてしまいました。ワシが作成に協力した当時から魔力探知機は格段に小さくなり、魔物討伐隊はそれを使って融合者や魔人を探していたようなのですな。)

(見つかってしまったのですか?)

(はい。ワシとしては桐生家に迷惑を掛けるのは本意ではないため、消滅してしまうのもやむなし、と思ったのですが、消滅する直前になるとザグレドが強引に出てきて、ワシらと交戦した魔物討伐隊から精神エネルギーを奪ってしまうのですな。)

(オレは消滅なんてしたくないからな。)

(そのせいでワシらは逃げるように東京を出ていろいろなところを巡り、最終的にはワシが初めて杏樹と会った思い出の場所であり、ワシらの墓がある場所でもある日光に落ち着くことにしたのですな。)

(グレンさんが日光のホテルにいたのはそういう理由だったんですね。)

(そうなのですな。)


(日光では仮初の魂の器から漏れる精神エネルギーが魔力探知機に探知されないような対策はされていたのですか?)

(はい。魔力探知機に探知されないよう結界を張った箱の中にほとんどの時間入って眠っているようにしたのですな。)

(妥当な策じゃ。それでも結界を維持するために少しずつ精神エネルギーは減るはずなのじゃ。それはどうしておったのじゃ?)

(減った精神エネルギーを補充するために、毎年修学旅行に来る魔法使いの学生から少しだけ精神エネルギーを分けてもらうことにしました。東大附属の学生が毎年日光に修学旅行に来ているのを知ったのは、日光に落ち着いてしばらくたってからでしたが。)

(それが悪魔の幽霊の噂の出元だったんですね。)

(はい。その噂が広まって毎年学生があの廃墟に来てくれるようになったのはうれしい誤算でしたな。)


(学生を脅かしていたのは、人間は恐怖を感じると精神エネルギーを多く発生させるためだな。)

(一度精神エネルギーをもらう際に学生の前に姿を見せたところ、恐怖した学生から思いの他、多くの精神エネルギーを得られたことにザグレドが味を占めたのですな。)

(そして、いつもと同じように精神エネルギーを奪おうとしたところでワレらと出会った、という訳じゃな?)

(はい。あの時はエレナ様の存在を認識できず、申し訳ありませんでした。)

(ザグレドが前面に出ていたようじゃったから、グレンが気が付かんのは余儀なかろう。じゃが、ザグレドはダメじゃ。ワレの精神エネルギーの波動を感じても気が付かんかったのじゃからのう。)

(申し開きのしようもございません。)



 バスは順調に高速道路を走っている。


(美姫さん、この猫の名前どうする?)

(そうね。名前がないと不便だし。樹君が考えている名前ってある?)

(特にないけど。黒猫だからクロ、とかでいいんじゃない?)


(ありきたりすぎるのう。)

(なぜ、エレナ様が反論するんですか?)

(ワレに相談せずに決めようなどと、許せるはずないじゃろう。ワレがザグレドとグレンにこの猫を依り代にするよう言ったのじゃから。)

(あなたは子供ですか、、、それで、エレナ様にはいい名前の案があるんですか?)

(もちろんじゃ。)

(教えて下さい。)

(ザグレド、でどうじゃ?)


(はい?その理由を聞いてもよいですか?)

(ザグレドが依り代にしておる黒猫なのじゃ。同じ名前の方でよいじゃろう。)

(いや、同じ名前だと混乱しないかと思うのですが。)

(最初はそうかもしれんが、そのうち慣れるじゃろう。)


(オレに拒否権はあるのでしょうか?)

(ないに決まっておるじゃろう。)

(そうですよね。分かりました。それでいいです。)

(ならば決定じゃ。この黒猫の名前はザグレドじゃ。)


「ニャー。」


 エレナ様の声が聞こえたのか、黒猫が嬉しそうにひと鳴きした。


(やばっ!)


 コッソリ周囲を見渡すが、誰もザグレドの鳴き声に気が付いていないようだった。


(良かった。。。)

(ザグレドが鳴いた時にはちょっとヒヤッとしたよね。)

(同感。今まで声が聞こえなかったのは鞄の中で寝ていたからか?)

(そうじゃないかな。でも、今は起きてるみたいだから、気づかれないうちに早く学校につかないかな。)


 そんな話をしているうちに、先生が起きるように声をかけたので、到着が近いことに気が付いた。


(もうすぐ学校に着きそうですね。)

(そうじゃのう。では話は一旦ここらで切り上げるかのう。)

((承知致しました。))


 バスの窓から学校が見える。


(これで修学旅行も終わりだ。)

(いろんなことがあったよね。)

(同意。まさか悪魔と知り合いになるなんて思いもしかなった。)

(本当。エレナ様が女王様で、ザグレドさんがその領民だったというのにも驚いたけれど、ザグレドさんと融合していたのが、グレンさんだったなんて。)

(日本の”楯系”の開祖の相方だから。僕は最初信じられなかった。)

(私も。でも、こんな偶然ってあるのね。)

(それにその後で、結果的にザグレドとグレンさんの依り代となる魔獣を飼わされることになったんだから、出発前の僕が聞いたら絶対に驚くと思う。)

(ふふふ。そうね。)

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