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竜の女王  作者: M.D
2170年春
73/688

22

 華厳の滝を見た後は昼まで中禅寺湖の湖畔を散策し、ホテルに戻り昼食をとった。


「修学旅行最後の食事はカレーか。まぁ、うまいからいいけど。」

「伝統のあるカレーらしいわよ。」

「そうなのか?普通のカレーとあんまり変わらん気がするが。」

「猫に小判、佐野にカレーね。ちなみに、あんたにこのカレーは勿体ないっていう意味よ。」

「そのくらい分かるわ!」


「ヒロポンは修学旅行楽しかった?」

「それなりに。美姫は?」

「楽しかったよ。」

「どんなことが?」

「うーん。いろいろ。」

「そう。」



 その後、バスに乗り帰京した。


(何とか見つからずに猫を連れて来れたけど、鞄にお土産を入れる場所がなくなった。。。)

(樹君、ごめんね。)

(美姫さんが謝る必要はないよ。悪いのは、『この猫を飼え』って言ったエレナ様だから。)

(じゃったら、樹がずっとザグレドの依り代になったいたほうが良かったのかのう?)

(いや、それは嫌ですが。)

(じゃろう。それに、樹が猫の世話を引き受ければ他の皆が幸せになれるのじゃから、それでいいではないかのう。)

(いつものことですね。もうあきらめてますからいいですけど。)


 夜通し話をしたり騒いでいたのか、ほとんどの生徒がバスの中で寝ている。


(さて、グレンとザグレドの話を聞こうかのう?まずは、何故お主たちがあの廃墟に居たのか、について教えてもらおうかのう。)

(エレナ様、あの廃墟に居た理由については、ワシとザグレドが融合したところから説明してもよいでしょうか?)

(グレンか。よいじゃろう。美姫もお主に興味を持っているようじゃしのう。)


(あれは、第1次悪魔大戦と呼ばれる人間と悪魔との戦争が終結する直前のことですな。ワシは杏樹たちを悪魔から守るために必死で都市防衛装置に魔力を注ぎ込んでいました。しかし、魔法の壁を抜けてくる悪魔もおり、ワシらを守っていた”大砲系”や”銃剣系”の魔法使い達が魔法の集中砲火を浴びせていました。そして、そのうちの一体がザグレドだったのですな。)

(あの時はオレも消滅を覚悟しました。折角、精神エネルギーの大半を使っていまいましい壁の中に入れたと思ったら、人間に囲まれてエネルギーの集中砲火だったのですから。仮初の魂の器を維持することもできなくらい精神エネルギーを削られてしまったために、緊急の策として人間と融合して生き延びようとして見つけたのがグレンだったのです。しかし、情けないことに逆に取り込まれてしまったというわけです。)

(本当に情けないのう。)

(申し訳ありません。)


(人間が悪魔を取り込めるんですか?)

(美姫さん、ザグレドが言った取り込むというのは少し違いますな。悪魔と人間が融合する場合には、どちらが主人格となるか主導権争いが発生します。実際には、そうですね、、、逆ババ抜きのようなものでしょうか。)

(逆ババ抜きですか?)

(概念的には、いかに自分の手の内にある主人格という手札を相手に渡さずに相手の手札を削っていくか、というものですな。ルールとしては、

1. 精神エネルギーに応じて手札が配られる。主人格の札は、精神エネルギーが多いほうに配られる。

2. 手札で同位の札(例えば、K♢とK♠)があれば、2枚ずつペアにして場に捨てる。

3. ただし、同位の札の中に♥が含まれていれば、相手の手札のうち一枚を裏返すことができる。

4. 最後に主人格という手札が残っているほうが勝ち。

といったところでしょうか。)


(1番目のルールから、人間と悪魔が勝負をすればほぼ人間が勝つことはありませんが、あの時はザグレドが精神エネルギーを使い果たしてしまっていたことと、運よく主人格のカードを引けたこともあって、きわどいところだったのですがザグレドに勝つことができたのですな。)

(それに、オレは人間なんぞに負けない、という油断があったのも敗因の一つです。)

(油断大敵、ですね。)

(全くそのとおりじゃのう。)


(可能であればお聞かせ願いたいのですが、エレナ様と美姫さんの場合は、エレナ様が主人格なのでしょうか?)

(ワレと美姫は融合ではなく結合じゃから、どちらが主人格というのはないのう。しかし、どちらかといえば美姫が主じゃ。ワレは仮住まいという感じじゃからのう。)

(なんとお優しい!魂の結合をしている故、美姫さんに主導権を渡しているとは、エレナ様への尊敬の念が増しました。これまでも第6王領の――――)


 またしてもザグレドがエレナ様がいかに素晴らしいかを話し始めた。長くなりそうなので無視しておく。本当にこいつは悪魔なのだろうか?


(エレナ様、続けてもよろしいでしょうか?)

(うむ、続けるのじゃ。)

(それでワシが主人格となった所以か、ザグレドとうまく融合できなかったのですな。ザグレド曰く、悪魔が主人格を取った場合は人間の人格は速やかに吸収されるようですが、ワシらの場合、人間が主人格を取ったために、完全に融合するのには200年近くかかるとのことでした。そこで、ザグレドには表に出てこないよう言いつけて、元の生活に戻ったのですな。)


(誰にも、グレンさんが悪魔と融合したことが露見たり、話をしたりはしなかったんですか?)

(ワシが主人格となった所以か、ジャネット以外には露見しませんでしたな。杏樹には話をしましたが、それ以外の誰にも話はしませんでしたし。)

(ジャネットさんってあの”楯系”の魔石を発見したジャネット・ハーデスさんですか?)

(そうですな。)

(グレンさんが悪魔と融合したのが分かるなんて、もしかして、ジャネットさんも悪魔との融合者だったんですか?)

(そうではありません。ハーデス家に報告に赴いた際に、ジャネットがその当時試作していた魔力探知機でたまたま探知されてしまったのですな。ザグレドが興味本位で表に出て来なかったら、探知されなかったのですが。。。)

(あの時は、本当にすまんかった。)

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