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竜の女王  作者: M.D
2174年春
682/688

33

《ちっ!美姫の仲間か。邪魔をするな!》


 ケイレスは標的を百合子さんに切り替えるが、


 グゴーーー!グゴーーー!

 パシッ!パシッ!パシッ!パシッ!


 襲い来るケイレスの魔手を百合子さんの魔導砲が薙ぎ払い、その取りこぼしを珠莉の魔導盾が防ぐ。


(あいつは中級魔族のようだけれど、妾の敵ではないわ。)

(そうね。ガレリアにかかれば余裕でしょう。)

(それにしても、この程度の相手にエレナ様が居ながら手こずるなんてね。)


 そうガレリアがエレナ様に嗾けると、


(ワレが前面に出ればあ奴など一捻りじゃが、それでは美姫の成長につながらんしのう。それに、樹の面倒も見なければならなかったのじゃ。)


 エレナ様はさりげなく僕の方に矛先を変えるよう仕向けた。


(あぁ、樹の中にいるのは下級魔族の”ザコ”レドでしたわね。それなら致し方ないかと。)

(オレは”ザグ”レドだ!)


 ザグレドは即座に反論するが、


(あら、そうだったの?妾は下々の名前を一々覚える気がないから、よく間違えてしまうのよ。)

(嘘つけ。そんなに上手く言い間違えるなんてありえないだろうが!)

(・・・下級魔族風情が妾に意見するなど許せないわね。あいつの相手をする前に、先にザコレドの始末をしてもいいのよ?)

(すみませんでした。。。)


 ガレリアに凄まれると、即座に態度を翻す。


(そう言ってやるでないのじゃ。ザコレドもあれで稀に有用なこともあるし、グレンと一蓮托生なのじゃからのう。)

(そうですな。ワシもまだ樹君と美姫さんのことを見守っていたいのですな。)

(分かっていますわ。あんなのでもザコレドが樹に必要なのは。)

(いや、だからオレはザグレドで――――)


(でも、樹がお荷物なことには変わりないのよね?)


 ザグレドのことを無視して百合子さんが僕に現実を突きつけた。


(百合子さん、言い方が酷すぎます。)

(でも、美姫さんも今回ばかりは樹がいない方が戦いやすい、と思っているのでしょう?)

(・・・そんなことありません。)


 百合子さんの問いに美姫は少し言い淀む。


(というわけで、樹は後ろで私たちの戦いを観戦していればいいわ。)

(了解。)

(やけに素直ね。)

(足手纏いになりたくないので。)

(そう。樹は正常な判断をできるだけの余力が残っていて良かったわ。)


(私も後方に下がっていた方が良いでしょうか?)

(そうですぅ。ダーでは中級魔族との戦闘は荷が重いのですぅ。)


 僕たちの話を聞いていた珠莉とダーが不安そうに聞き、


(そうじゃのう、、、)

(妾はどちらでもいいですわ。ただし、戦闘中に邪魔をするようなら容赦なく排除しますわ。)

(そうね。珠莉とダーでは中級悪魔に敵わないでしょうし。)

(私も珠莉には無理してほしくないよ。)

(・・・分かりました。)

(残念無念ですぅ。)


 ケイレスとの戦いへの参加を見送ろうとした時、


(待つのじゃ。いいことを思いついたのじゃ!)


 エレナ様がピコーンと何かを閃いた。


(それは私もお役に立てるようになる方法でしょうか?)

(そうじゃ。)

(珠莉、どうせ良からぬ案だろうから止めといた方がいいと思う。)

(樹は相変わらず失礼な奴じゃのう。教える気が無くなってきたのじゃ。)

(そう言わず、後で樹君に謝罪させますので、ワシらにエレナ様の案をご教授頂けませんかな?)

(・・・良いじゃろう。ザグレドは魔族じゃからどうもしてやれんが、ダーはワレが造った妖精じゃからのう。一時的に上限を突き抜けて能力を引き上げてやることができるのじゃ。そうすれば、あ奴とも渡りあえるじゃろう。)


 エレナ様の案は突拍子もないものではなく現実的な案だった。


(でも、何の代償も無しにそんなことが出来るとは思えません。)

(美姫の懸念は分かるのじゃ。一時的に能力を引き上げてから一定時間を過ぎると、その反動でダーは休眠を余儀なくされるじゃろうのう。)

(それって、元気の前借、というやつで、危険なのでは?)

(樹の言うとおりです。戦闘中にそうなってしまったら珠莉は恰好の餌食になってしまいます。)

(それまでにあ奴を倒してしまえば良いのじゃから、問題ないのじゃ。)


 エレナ様らしい考えだ。


(それで、珠莉はどうしたいのかしら?)

(妾はうじうじ悩むやつは嫌いなの。早う決めて頂戴。)


 百合子さんとガレリアが決断を促すと、


(・・・やります。)

(珠莉が賛成ならダーに異論はないのですぅ。)


 珠莉はエレナ様の案を受け入れること伝える。


(よう決めたのじゃ。では、早速、ダーの能力を上限以上に引き上げてやるのとしようかのう。ほれっ!)


 エレナ様がそう言うなり、


(何故に!?)


 僕から魔力が抜け、


(うわっ!すごい!)

(力が漲ってくるですぅ!)


 珠莉に流れ込むのを感じる。


(ワレら八竜王といえども、無から有を造ることはできないのじゃ。どうせ、樹は見ているだけなのじゃから、経費を肩代わりした思えば安いものじゃろう?)

(そういうことだろうと思いましたよ。。。)

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