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竜の女王  作者: M.D
2174年春
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32

 うわっ!?


 今度は無数の手が僕の方に伸びてくる。


 パリンッ!パリンッ!パリンッ!パリンッ!パリンッ!パリンッ!パリンッ!パリンッ!

 パシッ!パシッ!パシッ!パシッ!パシッ!パシッ!パシッ!パシッ!


 僕の魔導盾を砕いた魔手を美姫の魔導盾が防ぐと、


《む?先程と魔法の発動兆候が違うように見えたが、何故だ?・・・》


 ケイレスが怪しむような眼で僕の方を見た。


(もうバレた!?)

(そうみたいね。)


(あぁ!ザグレドが余計なことを言うから、僕の魔導盾ではケイレスの魔手を止められないことに感づかれてしまったじゃないか!)

(おいおい、その批判はお門違いだ。樹がいつも通りオレの言葉を無視していれば、こうはならなかったのだし。)


 僕の追及にザグレドは無理矢理な形で弁明するが、


(屁理屈ですな。)

(そうですね。私も吹き出しそうになるのを堪えるのが大変でしたから。)

(うむ。ザグレドはお仕置き確定じゃ。)

(そ、そんなぁ、、、)


 グレンさん、美姫、エレナ様にも批判され、ザグレドは項垂れた。


(しかし、ケイレスに事実が露呈して樹君が集中的に狙われるのは危険ですな。)

(そうじゃのう。ワレの補助があったとしても、美姫が樹の周りに魔導盾を展開するのは一瞬遅れるからのう。あ奴が速度重視で魔手を樹に向けてきたらマズいのじゃ。)

(樹、ゴメン。私がもう少し”楯系”魔法を上手く発動させることができていれば良かったんだけど、、、)

(否定。美姫のせいじゃない。悪いのは全部ザグレドだから。)

(すまんかった。。。)


 ケイレスはそんな僕たちの会話を知ってか知らずか、


《これからの戦い方を決めるためにも、樹の中に中級魔族がいるのかどうか確かめる必要があるな。》


 考えを漏らす。


(ヤバいですよ。これは、エレナ様が言っていたことが現実味を帯びてきました。)

(樹は避けることに専念するのじゃ。グレンも樹の回避を全力で補助するのじゃ。)

(承知しましたな。)

(美姫は魔導盾の発動準備じゃ。)

(はい。)


 エレナ様はそう指示するが、


 ピカッ


 空間の何もないところが光ったのが見えた直後、何かに体が押され、


「ぐはっ!」


 左肩に焼けつくような痛みが走った。


(やられた!?)

(そうじゃ。グレンが魔導盾で樹の体を守っておらんかったら、今頃、樹の体には穴が開いておったところじゃった。)

(ワシの魔導盾ではケイレスの魔手を防ぐことは出来ませんが、攻撃を受けた反動で樹君の体を動かすことは可能ですからな。)


 グレンさんが助けてくれたようだ。


(多謝。でも、魔手が全然見えなかった。。。)

(私も魔導盾を発動すらできなかったよ。。。それに、先程は1手だけだったからグレンさんのおかげで樹は助かりましたが、あれが多数になったらどうでしょうか?)

(樹君を守りとおせる、とは言い切れませんな。)


(エレナ様、何とかなりませんか?)

(ワレと樹には魂の絆があるといっても、出来ることは限られておるしのう。樹のことはグレンに任せる他ないのじゃ。)

(そんな、、、)


 まさに八方塞がりの状況の中、


《防御ではなく回避を選んだか。ならば、樹の中にいるのは中級魔族ではないことが確定だ。どうやってケイを謀っていたのかは分からないが、これで樹を恐れる必要はなくなったぞ。クックックッ。》


 ケイレスは愉悦の表情を浮かべ、


《樹よ!さらばだ!》


 そう告げた。


(これまでか、、、)


 僕が覚悟を決めた時、


 グゴーーー!


 魔導砲がケイレスに放たれ、


「樹、加勢に来たわよ!」

「美姫様、樹様、ご無事ですか?」

「やはり、悪魔が顕在化してしまっていたのね。」


 百合子さん、珠莉、真夏さんが部屋に飛び込んできた。

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