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竜の女王  作者: M.D
2170年春
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17

(グレンさん、ザグレドさんが感知した精神エネルギーが佐伯さんのものだって、どうやって分かったんですか?)

(あのホテルの廃墟で美姫さんと樹君のそばを風が吹き抜けるのを感じませんでしたか?)

(そう言われると、生暖かい風を感じたような気がします。)

(その時に、ザグレドが全員分の精神エネルギーを味見したから、覚えていたそうですな。)


(味見って、、、)

(樹だって、食事は美味しいほうがいいだろう?精神エネルギーを頂く時も同じだ。純粋で初心な人間が恐怖に染まった時の精神エネルギーは格別だぜ。佐伯って子の精神エネルギーも美味しそうだったから覚えていたんだよ。)

(やっぱり悪魔って怖い。)


 少しずつ魔獣に近づいていく。


(魔獣を生で見るのは初めてだけど、かなり大きい。)

(そうね。それに、私は2回見たことがあるけど、半透明な魔獣は初めてよ。)


 魔獣は佐伯さんを口に咥えて歩いているのか、佐伯さんの姿がわずかに透けて見える。


(半透明なのはあの魔獣がまだ精神エネルギーの取り扱いに慣れていないからでしょうな。)

(どういうことですか?)

(あの姿は君達がホテルの廃墟で見たザグレドと同じで、精神エネルギーと物質エネルギーを混ぜ合わせて作った仮初の魂の器が見えているのでしょうな。精神エネルギーの取り扱いに慣れている魔獣であれば物質エネルギーを効率よく作り出し、見た目も完璧に整えられるはずですな。)


(グレンさんの言うとおり、見た目が悪魔の幽霊に似ていますね。)

(あの時のザグレドは、節約のために完全な仮初の魂の器を形成するだけの精神エネルギーを使っていませんでしたので、半透明だったんですな。)

(そうだったんですか。)

(それに、あの魔獣の腹の部分を見て下さい。うずくまっている動物が見えるでしょう。あれが本体ですな。)

(確かに、お腹に何かいますね。)


 魔獣の腹の部分に黒っぽい何かが見える。


(仮初の魂の器は精神エネルギーを大量に消費しますから、魔獣にもよりますが、20分から30分程度しかあの姿を維持できません。それ以上あの姿を維持しようとすると、外部から精神エネルギーを補充する必要があるのですな。 )

(ヒロポンから精神エネルギーを補充する、とうことですか?)

(そういう事ですな。人間の方が精神エネルギーの発生量が多いため、エネルギー源として連れ去ったのかもしれないですな。美姫さん、佐伯さんがいなくなってからどのくらい経っていますか?)


 美姫さんは情報端末を見て、時間を確かめた。


(ヒロポンが部屋を出て行ってからだいたい20分くらいだと思います。)

(では、早く助け出さないと佐伯さんから精神エネルギーを奪われてしまうかもしれませんな。)


(でも、どうやって助け出せばいいんでしょうか?)

(方法はいろいろあるのですが、佐伯さんを傷つけないように助け出すとなると、美姫さんと樹君だけでは難しいかもしれませんな。エレナ様がワシらだけ追うことにされたので、何か策をお持ちなのでしょうが。)

(そうじゃな、、、上手くいけば、全員が幸せになれる未来が待っているじゃろう。しかし、まずはもっと近づいて魔獣の出方を見てからにしようかのう。)


 さらに少し近づいたところで、魔獣がこちらの存在に気づき振り向いた。


(気づかれたみたいだ。)

(じっとこっちを見ているね。)

(恐らく、普通の人間よりも大きな精神エネルギーを感じて警戒しておるんじゃろう。)

(そういう事ですか。結界から樹君の精神エネルギーだけを漏らすようにした理由が分かりました。)

(??)

(さすがグレンじゃのう。それに比べて樹は。)

(樹君はまだ高校1年生です。実戦も経験していないんですから、分からなくても仕方がないでしょうな。)


(樹、ホテルの廃墟の時の同じじゃ。)

(まさか、僕の方に魔獣の意識を向けさせる、ってことですか?)

(そうじゃ。樹は言わば餌じゃ。)

(餌だなんて。ひどひ。。。)

(そうです。樹君を危険に晒すのはやめて下さい、と何度も言っているのに。)

(心配するでないのじゃ。ワレもザグレドもグレンもおるから、危険なんてありはせんのじゃ。それに、樹の精神エネルギーに誘われて、もうすでにあの魔獣に獲物として認識されているようじゃ。)


 魔獣は咥えていた佐伯さんを地面におろし、体勢を低くしてこちらを伺っている。


(ほれ、体勢を低くしてこちらを狙っておるのじゃ。)

(本当だ。もう狙われているじゃないですか。)


(でも、すぐには襲ってきませんね。)

(おそらく樹君が敵か獲物かどうか慎重に見極めているのでしょうな。)

(いや、悪魔じゃったらこれだけ精神エネルギーを漏らしておったらすぐに飛びかかってくるはずじゃ。それなのに襲ってこんとは、樹の精神エネルギーに問題があると考えるべきじゃろうのう。)

(ひどっ。)


 魔獣はこちらをじっと見て動かない。


(緊張して待っているだけというのも、疲れる。狙われていると思うから、余計にそう感じるのかもしれないけど。)

(うん。エレナ様は大丈夫だと言っているけれど、私は樹君のことが心配。)

(どうしていつもこうなるのか。。。)

(面倒ごとに巻き込んでしまってごめんね。)

(美姫さんが悪いわけじゃない。エレナ様に関わってしまった以上、避けて通れないと諦めるしかないか。)


(ワレが悪いような言い方をするでないのじゃ。)

(実際そうじゃないですか?2回も樹君の精神エネルギーを囮につかうようなことをして。)

(美姫まで。。。)

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