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ビシュッ!ビシュッ!ビシュッ!ビシュッ!ビシュッ!ビシュッ!ビシュッ!ビシュッ!
美姫と僕は銃型補助具の連射機能を使って、魔導矢を絶え間なく圭一に浴びせ続け、
ビシッ!ビシッ!
2発目までは圭一の魔法防壁を貫く事が出来たが、
ピシュッ!ピシュッ!ピシュッ!ピシュッ!ピシュッ!ピシュッ!
それ以降は魔法防壁に当たって消滅されられてしまう。
「私たちの魔法が通用しない!?」
「改良型銃型補助具を使っているのに!?」
予想外の展開に驚く僕たちに対し、
「その銃型補助具は素晴らしいな。新型か?今しがたの様に魔導矢の威力を大幅に上げつつ連射を行うと、従来の銃型補助具では確実に壊れてしまうはずだ。東京国防軍の開発部にはその様に高度な銃型補助具を開発する技量などなかったから、別の都市国家の国防軍から試作品を借りてきたのか?」
圭一は落ち着いて僕たちが使用している銃型補助具を観察していた。
(違うのじゃ。ワレとグレンが美姫と樹のために改良を加えた銃型補助具なのじゃ。)
(改造しすぎて、もはや中身は別物になっておりますがな。)
(あ奴にはそれが分かっているようじゃし、素直に褒められるところは評価に値するのじゃ。)
エレナ様は改良型銃型補助具を認められて喜んでいるようだ。
(魔導弾や魔導矢の威力を上げるために2人の魔導力に合わせて峰強の調整を行っておりますから、使用者が限定される専用品になってしまったのが玉に瑕ですがな。)
(それは仕方ないじゃろう。現在の地球の技術ではこれが精一杯じゃ。)
ビシュッ!ビシュッ!ビシュッ!ビシュッ!ビシュッ!ビシュッ!ビシュッ!ビシュッ!
エレナ様とグレンさんが話している間も、僕たちは圭一に魔導矢を放ち続けるが、
ピシュッ!ピシュッ!ピシュッ!ピシュッ!ピシュッ!ピシュッ!ピシュッ!ピシュッ!
その悉くが魔法防壁に当たって消滅されられてしまう。
「どうして!?」
「これが最大出力なのに!」
攻撃が通用しないことに焦燥感に駆られる。
「ハハハ。どうした?どんなに威力や速度があっても当たらなければ俺を倒せないぞ。」
その上、愉悦の表情で圭一は僕たちを煽ってきた。
(威力の増大と連射機能は峰強の幅を狭めることによって両立させたのじゃったのう。)
(その調整のために、試射では何度も暴発させてしまって、樹君には悪いことをしましたな。)
(そうじゃのう。樹の尊い犠牲の上に実装できたのじゃから、少しは感謝しても良いかもしれんのう。)
なのに、今だエレナ様とグレンさんは銃型補助具の改良に関する雑談にただ興じているだけで加勢してくれそうになかったため、
(・・・エレナ様とグレンさんは僕たちに手助けしてくれるんじゃなかったんですか!?)
強めに抗議するが、
(おっ!樹が怒ったのじゃ。)
エレナ様には暖簾に腕押し、糠に釘だった。
(樹が怒るのも無理ないです。魔法防壁を突破するために、エレナ様もグレンさんも手を貸してくれても良くないですか!?)
美姫も苦言を呈すると、
(ワレらが補助しても無駄なのじゃ。)
(えっ!?)
(美姫もワレとグレンが何もしていないと思っておるのかのう?ワレらはあ奴の魔法防壁を解析して、魔導矢が通じない理由を見出そうとしておるのじゃが?)
(そ、そうだったのですか?)
(そうじゃ。)
意外な回答が返ってきた。
(補助が無駄な理由は何ですか?)
(エレナ様によると、圭一の魔法防壁は普通とは違うようですから、ワシらの助力によって魔導矢の威力を上げても意味がないそうなのですな。)
(成程。)
(それに、圭一が反撃する素振りを見せれば、ワシらも美姫さんや樹君を守るために動いたでしょうが、そうではありませんでしたからな。)
(それならそうと、言って下されば良いのに。)
(ワレがしていることを美姫と樹に教えてしまったら、2人は冷静にあ奴を攻撃してしまうじゃろう?
そうなれば、あ奴もおかしいと感じるはずなのじゃ。)
(だとしても、雑談をしなくても良くないですか?)
(美姫と樹は幾度となく強敵と戦って、こういう場面での対処に慣れてきておるからのう。あ奴を油断させるためにも、経験の浅さを演出しようと考えたのじゃ。上手い具合に2人とも苛々したじゃろう?)
(・・・はい。)
(敵を欺くにはまず味方から、じゃ。しかし、何度やっても嵌った時の2人の反応は面白いのう。)
僕たちは、まんまとエレナ様の策略にのせられていただけみたいだ。
(ドヤ顔のエレナ様が目に浮かぶ。)
(うん。でも、これで何とかなりそうね。)
(肯定。エレナ様の意地の悪さにはうんざりするけど。)




