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竜の女王  作者: M.D
2174年春
660/688

11

 更にその翌々日に開催された地球連邦魔法軍会議での合意を取り付けた僕たちは、その日のうちにフロリダに飛び、


「これが僕たちが乗り込む調査船ですか?」


 フロリダ海軍の港に停泊している船を見て疑念を抱いた。


「そうなんよ。どうかしたん?」

「想像より大きいな、と思いまして。」

「幽霊島がいつ現れるか分からないから、出現地点付近で長期間滞在できるように大きめの船を用意してもらったんよ。」

「成程。」


 僕たちが船を眺めている横で、港湾作業者によって機材の搬入等が行われている。


「明日出港なので忙しそうですね、って、和香!?」


 その中に混じって港湾作業者に指示を出している和香を美姫が見つけた。


「どうして和香が指示を出しているの?」


 美姫は直ぐに和香に詰め寄り詰問する。


「『どうして』と言われましても、幽霊島に着いた際に機材を降ろしやすいような配置で船内に置いてもらうためです。彼らは少々荒くたいので、誰かが指示を出さないと適当な場所に置いてしまったりするのです。」

「いや、そうじゃなくて、その役割をどうして和香がしているのか聞いているの。」

「それでしたら、私が幽霊島で使う機材の運用を任されているからですが?」


 は?


 和香は、何を今更、と不思議そうに美姫を見るが、僕たちはそんなこと聞いていない。


「和香も幽霊島についてくるつもり?」

「はい。ロジャー教授から依頼がありまして、私が運搬機を操作を担当させて頂きます。」


 和香の答えを聞いて、美姫はロジャー教授に問い質した。


「ロジャー教授!どういうことですか!?」

「あれ?和香君は美姫さんに伝えてなかったん?小生はもう聞いていると思ったから言わなかったんよ。」

「聞いてません。」

「そうだったん?エリドゥ遺跡で和香君が運搬機を操作する様子を見ていて、その的確さに感心したんよ。組込電脳だけでも運用は可能なのだけれど、咄嗟の対応は人間が行った方が正確で安全なんよ。だから、ヒューストンで和香君を見つけた時に声をかけたんよ。」


 そういうことなら、先に教えておいてほしかった、、、


「私も幽霊島へ向かう調査船に船員として乗り込む手筈までは整えられていたのですが、幽霊島への上陸してからのことについては諦めていたのです。そこに、ロジャー教授から依頼があり、渡りに船だと快諾した次第です。」

「はぁ、、、フロリダに向かう飛行機にしれっと乗っている和香を見つけて、おかしいと思ったのよ、、、そういうことは、早く言っておいて。」

「申し訳ありません。何分、私もヒューストンでは多忙でして、美姫様にお伝え出来なかったことを謝罪致します。」


 そう言って、和香は頭を下げるが、


(私に言わなかったのはわざとよね。)

(同感。そうでなければ、どんなに忙しくても和香なら美姫に伝えていないはずないし。)


 美姫と僕の意見は一致したのだった。



「漸く来た、と思ったら騒がしいわね。」


 和香との茶番劇を見ていたのだろう。こちらに歩いてくる真夏さんは呆れ顔だ。


「真夏さん、お久しぶりです。フロリダでの休暇はどうでしたか?」

「快適だったわ。魔封錠をつけられている所を除いて。」


 真夏さんは両手に付けられている魔封錠を見せながら言う。


「魔封錠は真夏さんをフロリダに先乗りさせておく条件だったので、辛抱して下さい。」

「分かっているわよ。私が美姫さんたちと一緒に行動するわけにはいかないから、秘かに先行してフロリダにやってくる必要があったってことも。」

「それなら良かったです。」

「それで私たちと幽霊島に向かうのが、この人たちなのね。」

「はい。真夏さんのことは既に話してあります。」

「ふーん。ヒヨッコと老人だけ、、、って、、、」


 百合子さんを見た真夏さんが美姫のそばに寄ってきて、


「凄い威圧を感じるんだけれど、あの子、何者?」


 と、伝えてくる。


「初対面なのに失礼ね。」

「ひぃ!」


 それを聞いた百合子さんが睨むと、真夏さんはビクッとして美姫に助けを求めた。


(百合子さん、その辺にしておいてあげて下さい。真夏さんと融合した悪魔は下級魔族なのですから、中級魔族のガレリアさんの圧力を感じて怯えていますので。)

(分かったわ。でも、真夏さんに私たちの真実を伝えていない、というのは本当だったのね。)

(はい。どこまで信用できるのか見極める時間がなかったので。)


(そうね。私とガレリアがいれば真夏さんが裏切ったとしてもどうとでもなるけれど、他の融合者の力は未知数なのだし。)

(妾がいるのだから地球に残っている大半の魔族に負けることはないわよ。それに、美姫さんにはエレナ様もついておられるのだから、そんなまどろっこしいことをしなくてもいいんじゃないの?)

(面倒事を避けるために、用心しておくに越したことはないのよ。)

(人間とは面倒な生き物ね。)


 百合子さんとガレリアの話を聞いて、


(随分打ち解けているみたいですね。)

(妾と百合子は気が合うようなの。最初はヴァロ様の指示に従っていただけだったのだけれど、今では百合子の力になってあげても良い、と思うくらいになっているわ。)

(私もガレリアの持つ知識に興味が尽きなくていろいろ聞いている内に、ガレリアとは相性が良い事が分かったのよ。)


 美姫の呟きに対するガレリアと百合子さんの答えに、”混ぜるな危険”という言葉がふと頭をよぎったのだった。

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