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竜の女王  作者: M.D
2170年春
64/688

13

 ホテルの廃墟から出ると、広瀬たちはそこで待っていた。


「弘子、龍野さん、森林君、よかった。。。」

「森林、佐伯を連れて帰ってくれてありがとう。」

「すまん。森林たちを残して逃げてしまった。」

「ごめん。あれほど張り切っていたのに、すぐに逃げてしまった。でも、さすが魔法科の生徒だな。あの状況で、動じないなんて。」

「そんなことはないけど。」


 背負っていた佐伯さんを三輪さんに預ける。


「弘子、弘子。」


 三輪さんが佐伯さんの体を軽く叩いたりゆすったりしている。


「ん?」


 佐伯さんが目を覚ましたようだ。


「ヒロポン。気が付いたんだ。よかった。」

「あれ?ここは?」

「ホテルの前。もう大丈夫だよ。」

「佐伯も目を覚ましたばかりですまないが、まずは集合場所に急ごう。そろそろ5時だ。」


 何とか集合時間にも間に合い、バスに乗ってホテルへ向う道すがら、先程までのことについて話をした。


(エレナ様って女王様だったんですね。)

(私もエレナ様が女王様だったなんて知りませんでした。それに、天界のことを全て覚えているわけではない、と言われていたような気がします。)

(美姫に話しておらんかったことはすまないのじゃ。ワレのことにについては後で話すとして、美姫にも言ったとおり、今のワレが全ての領民のことを覚えているわけなかろう?天界の本体とも繋がらんし、美姫の魂と結合しておるから記憶領域にも限りがあるからのう。)


(でも、あの悪魔のことを知っているみたいでしたけど。)

(まさか、当てずっぽうでカマかけたとか?)

(そんなことはしないのじゃ。ザグレドが悪魔に変容したのは地球時間で2千年前と最近じゃったから、その時の情報が記憶領域に残っておったのじゃ。奴の攻撃を受けた時に精神エネルギー波動を解析して検索をかけたらその情報を見つけた、というわけじゃ。)

(偶然ってことですか?)

(ワレのことなのじゃから、偶然というよりは必然というべきじゃのう。)


(あの悪魔の攻撃をさばきながら、解析もされていたんですね。)

(流石に並列処理をすると美姫に負担をかけてしまうからのう。樹の演算領域を使って精神エネルギー波動の解析をしたから少し時間がかかってしまったのじゃ。)

(あの時気分が悪くなったのはエレナ様が原因だったのですか、、、)

(あのくらいで気分が悪くなるとは樹は情けないのう。もっと鍛錬が必要かもしれんのう。)

(否定。もう十分です、、、)


(ザグレドについて分かったから、ワレらが知らぬ情報が得られるのではないかと、交渉の材料にしてみたまでじゃ。)

(あの悪魔の情報を見つけられなかった場合はどうしたんですか?)

(ひとまず交渉はするが、説得できる確率は低くなるじゃろう。まぁ、決裂した場合は速攻で消滅させて終わりじゃ。)

(エレナ様らしいです。)

(何を言うのじゃ。ワレは日頃の行いがよいからのう。ザグレドを消滅させんかったことによって、ワレらが知らぬ情報が得られるんじゃから、良かったではないかのう。)

(そうですね。)


 美姫さんやエレナ様と話をしていると、ザグレドと呼ばれた悪魔が話しかけてきた。


(少年よ、あの少女は何故かは分からんがエレナ様と融合しているようだからオレと話ができてもおかしくはないが、貴様はどのような悪魔と融合しているんだ?)

(僕は悪魔とは融合していませんが。)

(では、何故オレと話ができる?)

(エレナ様と魂の絆を結んでいるからだと思います。)

(エレナ様と魂の絆を結んでいる、だと!天界ですらエレナ様の秘書官以外でエレナ様と魂の絆を結ぶことができたのは侍女の1人であるアリス様だけだというのに、人間風情の貴様が何故エレナ様と魂の絆を結ぶことができるのだ!)


 ザグレドが突然大きな声を出したので、びっくりした。


(うるさいのじゃ。)

(申し訳ありません。この少年が、ありえないことを言うものですから。)

(ザグレドが驚くのも無理はないのう。それに、少年、少女ではなく、樹、美姫と呼ぶがよいのじゃ。)

(承知致しました。しかし、人間風情がエレナ様と魂の絆を結んで生きていることができるなど、ありえません。)

(普通ならそうじゃが、ワレにもいろいろあってのう。樹が生きておるのもそれが理由じゃろう。)


 ん?今さらっとすごいことを言わなかったか?


(エレナ様、どいうことですか?)

(美姫、そんなに心配せんでもよいのじゃ。人間が持つ固有設定値の種類は少ないから、ワレと魂の絆を結ぶことができる人間は稀にじゃが、いるのじゃ。しかし、通常であればワレと魂の絆を結んだとしてもワレから漏れ出る精神エネルギーを受け止めらずにすぐに消滅してしまうのじゃ。)

(でも樹君は消滅しないでいられています。)


(僕って、幽霊?)

(そんな訳なかろう。樹が消滅していないのは、今のワレの精神エネルギーが本来の10京分の1程度じゃからじゃろう。それ故、ワレから樹に伝わる精神エネルギーは微々たるもので、樹でも受け止められているのじゃ。)

(10京分の1ですか?あまりに桁が大きすぎて想像できないです。)

(貴様はエレナ様がおっしゃっていることが嘘だとでもいうのか?)


 ザグレドに睨まれた気がする。


(そんなことは、、、)

(それに、ザグレド、ワレは美姫と融合しているのではなく、美姫と魂の結合をしておる。)

(なんと!エレナ様と魂の結合ができるなんて、美姫さんは素晴らしい!)


 美姫さんと僕に対するザグレドの対応の違いが気になる。


(魂の融合ではなく結合なので、美姫さんの魂が融けずに存在できているんですね。おおよそ理由が理解できました。何故エレナ様の精神エネルギーが本来の10京分の1程度なのかは聞かないでおくことに致します。お騒がせして申し訳ございませんでした。)

(うむ、そのうち気が向いた時に理由を説明してやるのじゃ。)

(ありがたき幸せ。)

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