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竜の女王  作者: M.D
2174年冬
637/688

20

(あ奴の逃げ足は速いノウ。)

(真夏は飛行しているようですから、ワシらも魔導飛行を使った方が良さそうですな。)

(そうですね。樹もいい?)

(肯定。)


 美姫と僕はバックルに魔導飛行の命令規則を送り、飛行して真夏さんを追いかけることにした。


(ぬぉ!やっぱり狭い通路を高速飛行するのは難しい。)


 曲がり角では飛行速度を維持するため、通路の壁面を掠めるようすれすれで曲がる。


(これが初めてだったら壁にぶつかってたかもしれないね。)

(もしもの時のために、って、大和大佐に屋内飛行の訓練させられたことがあって良かった、と今なら思える。)

(私たちが子役、大和大佐が鬼役でやった鬼ごっこのことよね?)

(肯定。そして大和大佐に捕まったら追加の模擬戦が確定的になるから必死で逃げるんだけど、絶対につかまる、と。)

(ふふふ。一度も逃げ切れなかったよね。)


(そんなこともあったのう。)


 エレナ様の声が聞こえたので、何気に視線を前から横に向けると、


 !?


 鼬が僕たちと同じ速度で並行飛行する、という摩訶不思議な光景が見えた。


(・・・鼬が飛んでるとか非現実的すぎる。。。)

(そうね。でも、エレナ様が操っておられるのなら可能よ。)

(今がギレナと入れ替わる良い機会だと思ってついて来たのじゃ。ギレナ、ワレと交代するのじゃ。)

(承知しましたのジャ。)


 直後、魔力の塊のような物が美姫と鼬の間を相互に行き来するのが見えた。


(美姫の中は心地よいのう。鼬の中とはダンチじゃ。)

(エレナ様、ワレはこの後どうすれば良いのでしょうか?)

(そうじゃのう、、、ギレナは戻って亜紀と桜花の行動を精神エネルギーの動きも含めて録画しておくのじゃ。先の戦闘で桜花の特性はほぼ把握できたのじゃが、隠しておる能力があるかもしれんからのう。)

(承知しましたのジャ。)


 ギレナはそう言うと、鼬の魔獣を操って元来た道を戻っていった。



(一向に距離が縮まらないね。)

(同感。このままだと真夏さんに追いつけないかもしれない。)


 視界に移る真夏さんは小さいままだ。


(ここは思考加速をするしかないと思うんだけれど、どう?)

(肯定。今のままだとこれ以上速く飛行できないし。)

(それじゃ、いくよ。)

(了解。)


 2人同時に思考加速を発動させると時間の流れが緩やかになり、飛行速度を更に上げることが可能となった。


(それでもまだ足りないか。)

(そうね、、、あっ!)


 真夏さんが通路上の備品を僕たちに投げつけてきたので、


 パシッ!


 魔導盾を発動して、飛んできた備品から身を守る。


(追いつかれそうになったから、邪魔してきたみたいね。)

(同感。次は魔法を使ってくるかも、、、えっ!?)


 そう考えていたら目の前を飛んでいた真夏さんが突然いなくなった。


(消えた!?)

(私たちから逃げるために、真夏さんが悪魔の能力を使ったの!?)


 僕たちが困惑していると、


(悪魔の能力を使った痕跡はないようじゃのう。)

(では、真夏さんは何処に居るのでしょうか?)

(上じゃ。)


 エレナ様の言葉に従って目線を上に向けると、通路の天井に穴が開いているのを見つけた。


(ここから外に出たのか!)


 美姫と僕は急制動をかけ、上に向かって方向転換すると、


 うっ!


 強烈なGがかかって体を軋ませるが、


(いたよ!)


 真夏さんを再び視界に捉えることに成功した。


(でも、また少し距離を離されたし、逃げ切られてしまうかも、、、)

(樹君、大和大佐との訓練を思い出すのですな。)

(そうじゃ。こちらの速度を上げられないのであれば、相手の速度を落とすしかないのじゃ。)

(つまり、魔導弾で牽制すればよいのですね。)

(そうか。運動をすればするほど速度が落ちるのだから、真夏さんに回避行動をとらせればいいのか。)

(そうですな。)

(訓練の時と同じようにすればよいのじゃ。)

(はい。)


 パンッ!パンッ!パンッ!パンッ!


 2人して牽制射撃を行うと、真夏さんは旋回や体を左右に揺らすことで魔導弾を躱すが、


「ちっ!」


 そんな舌打ちが聞こえてきたような気がする程、僕たちを煩わしく感じている様子が伺えた。

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