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竜の女王  作者: M.D
2174年冬
636/688

19

(えーっと、、、状況が理解できていないんだけど、、、)

(あの人って真夏さん!?)

(そうジャ。探す手間が省けて良かったノウ。)

(そうですが、樹君が言いたいのはそのことではないでしょうな。)

(肯定。どうして真夏さんがここにいるのか?とか、どうして真夏さんが海棠を殴り飛ばしたのか?とか、突然の出来事すぎて頭が追いついていかないんです。。。)

(真夏さんがここにいる理由は分からないけれど、海棠を殴り飛ばしたのは父の居場所を知られたくなかったからでしょうね。)

(しかし、一歩遅くワレらに知られてしまったがノウ。)

(『バミューダ』と言いかけておりましたから、バミューダ諸島のどこかに圭一が居るのでしょうな。)


「どうして圭一の所在を教えたのよ!?」

「・・・脅迫されて生命の危険を感じたからよのう。」

「そんなことで簡単に口を割らないでほしいわね。」

「しかし、あたくしも自分の命は大事なわけで――――」

「てめぇより圭一の方が重要なのよ!」


 真夏さんが海棠の胸ぐらを掴んで揺する。


「堪忍してたもれ。」

「許すわけないでしょ!?」

「あたくしと真夏の仲ではないかえ?」

「それも終わりよ。魔法軍の攻勢を止められないから、ここを放棄して別の場所に移動することを伝えに来たのだけれど、まさか圭一の情報を漏らしていただなんてね。そんなあなたはもう仲間でもなんでもないから、ここで捕まって生贄になりなさい。」

「それは冷酷無残ではないかえ?」

「私はそうは思わないわ。」


(真夏さんは海棠を呼びに来たのね。)

(そんなの部下に任せればいいのに。)

(同じ融合者としてのよしみというやつジャろう。)

(それが真夏の仇となりましたな。)


「・・・お話の途中で割り込んで申し訳ないのだけれど、あなたは真夏元中尉でいいかしら?」


 亜紀様が真夏さんに声をかけると、


「そうよ、、、って、げっ!」


 真夏さんは僕たちの存在を思い出し、やってしまった、という形相になった。


(あ奴は夢中になると周りが見えなくなる様子ジャのう。)

(深く集中できる、という意味では研究者に向いていると言えますが、組織の指導者としては失格ですな。)

(辛辣。)

(でも、グレンさんの評価は妥当だと思うよ。)


「私としては真夏さんからもお話を聞きたいのだけれど、いいかしら?」

「・・・海棠を引き渡すから私のことは見逃してほしい、とお願いしても聞き入れてくれないのですよね?」

「えぇ、勿論よ。」


 亜紀様は笑顔で真夏さんの提案を拒否する。


「真夏、自分だけ逃げようなんて卑怯ではないかえ?」

「あなたは口を噤んでいなさい。」

「しかし、黙っていたら、あたくしの命運は尽きてしまうのよのう。」

「ごちゃごちゃと鬱陶しいわね。」


 再び言い争いを始めた海棠と真夏さんに呆れたのか、


「2人そろってお縄になりなさい。」


 亜紀様は桜花の砲口を真夏さんにも向けた。


「てめぇのせいで状況が悪化してしまったじゃないのよ!」

「いい気味よのう。」

「そのドヤ顔に腹が立つわね。」

「このまま一緒に捕まるのよのう。」

「嫌よ!だから、こうするわ!」


 真夏さんは海棠を掴んだまま部屋を出ようと扉に向かって移動を始め、


 バシュッ!バシュッ!


 逃亡を阻止しようと亜紀様も桜花で真夏さんを狙うが、


「痛いっ!痛いっ!」


 真夏さんは海棠の体を常に射線上に置いているため、桜花から放たれた魔導矢は海棠にしか当たらない。


「あたくしを連れて逃げてくれるのは嬉しいけれど、この扱いはないのではないかえ?」

「そんなことないわ。」


(仲間を盾として扱うとは、あ奴も何気に酷い奴ジャのう。)

(しかし、このままだと部屋を出られてしまいますな。)

(そうはさせません!)

(同意!)


 美姫と僕が真夏さんと部屋の扉との間に魔導盾を発動するが、


「な、なにをするだー!?」


 真夏さんは海棠を亜紀様の方に放り投げた後、


 パリンッ!パリンッ!


 いとも簡単に僕たちの魔導盾を砕いて部屋から出て行ってしまった。


(やられた。。。)

(そうね。竜胆さんを助け出した際に真夏さんと空中戦をしたのだけれど、その時には同程度の魔導盾で真夏さんを足止めを出来たのに。。。)

(あの時とは、あ奴の本気度が違う、ということジャろう。)

(そうでしょうな。なにせ、今は自分自身が危険にさらされているのですからな。)


「ここは私たちに任せて、美姫ちゃんと樹君は真夏さんを追って頂戴。」

「「はい。」」


 亜紀様は素早く状況を判断して美姫と僕にそう申し付け、僕たちは亜紀様の指示に従って真夏さんを追行すべく部屋を出たのだった。

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