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竜の女王  作者: M.D
2174年冬
632/688

15

(あれが龍野家当主家が厳重に保管してきた魔法具。)

(そうみたい。真綾様に盗まれた偽物の桜花と全く同じ形をしているし。)


 桜花が宙に浮いている姿は、まるでガ〇ダムに出てくるファン〇ルみたいだ。


(それにしても、桜花にはエクスカリバーのような”神話級”の魔法具と云われる程の霊性というか、心に強く迫る感覚がないのが気になる。)

(桜花は歴史や物語に登場してもいませんし、樹君がそう感じたのは能力を秘匿しているからでしょうな。)

(お義母様も『桜花の真の能力』と言われていましたし、桜花を”神話級”の魔法具たらしめる何かがきっとあるんだと思います。)

(そうジャろうのう。)


「それが桜花かえ?確かに、云い伝えられているとおりの形のようだけれど、そんな玩具のような物で何が出来るというのかえ?」

「それは見てのお楽しみ。まずは肩慣らしといきましょう。」


 亜紀様が海棠を指さすと、


 バシュッ!


 桜花から魔導矢が放たれた。


(速い!)

(それに、威力も高いよ!)

(魔導力の凝縮度が高いからジャろう。)


 ボヨンッ!


(でも効いてない!?)

(あんなに威力のある魔導矢なのに!?)

(体に弾性を持たせて魔導矢の威力を滅したようですな。)


 魔導矢は海棠の体をたわませただけで、元に戻った海棠の体には傷一つ付いていない。


「今、何かしたかえ?」

「余裕の表情ね。」

「当然よのう。あたくしにとって、あの程度の魔導矢は微風に撫でられているようなものなのだから。」

「ふーん。成程ね。体をゴムのように柔らかくして攻撃を受け止める。それがあなたが得た悪魔の能力なのかしら?」

「明察よのう。」


(体がゴムのようになる、、、ゴム人間?海棠は〇フィと同じようにゴムゴ〇の実を食べたとか?つまり、悪魔と融合したのではなく、悪魔の実を食べた?)

(美姫、樹は先程から何を言っておるのジャ?)

(あれはいつもの病気だからギレナも気にしないで。)


「これで桜花の攻撃があたくしに通用しないことが分かったかえ?」

「どうかしら?」

「まだ虚勢を張るつもりかえ?お前があたくしに勝てないことを教えてあげるから、今度はあたくしの魔法を受けてみるかえ?」

「いいでしょう。」


 バシュッ!


 亜紀様が答えるなり海棠が魔導矢を放つ。


(これは!?)

(さっきお義母様が放った魔導矢と全く同じ威力ね。)

(更に、亜紀に逃げる隙を与えないよう、海棠は即座に魔導矢を放ったようですな。)


「さぁ、どうするのかえ?」

「ふふふ。」


 亜紀様は向かってくる魔導矢を避けようとせず、3つの桜花が亜紀様の前に移動し、


 ジジッ!


 桜花によって作られた三角形の面を通過する際に魔導矢の方向が変わり、あらぬ方向へ飛び去って行った。


(えっ!?何が起きた?)

(魔法が発動されて魔導矢を捻じ曲げたように見えたけれど、、、)

(状況の解析結果からすると、3点間の面内に力場を作って魔導矢の方向を変えたようジャのう。)

(そんなことが出来るのか、、、)


(グレンさん、”楯系”魔法にはあの様な魔法は有るのでしょうか?)

(有るには有りますが、ワシの知っている魔法とは全く様子が異なりますな。)

(つまり、発動されたのは”楯系”魔法ではないと?)

(そうなりますな。)


「・・・それが桜花の能力かえ?」


 海棠は務めて冷静を装って亜紀様に問いただす。


「そう。攻防一体の魔法具。それが桜花よ。」

「得意げにしているようだけれど、たかが1発防いだくらいで威張られても困るのよのう。」

「では、どうすれば認めてくれるのかしら?」

「これでどうかえ?」


 バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュッ!


 ニヤリと口角を上げた海棠は魔導矢を乱れ撃った。


(さっきと同じ威力の魔導矢が6つも!?)

(桜花は8つだから2発ずつしか阻止できないのに、お義母様は余裕の構えを崩しておられないよ?)


「全て防ぎきれるかえ?」

「どうかしらね。」


 ジジッ!ジジッジジッ!ジジッ!ジジッ!ジジッジジッ!


 時に三角形を形成して1発、はたまた四角形を形成して2発同時にと、8つの桜花は有機的に動いて海棠が放った全ての魔導矢の方向を変え、亜紀様にかすりもさせなかった。

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