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竜の女王  作者: M.D
2170年春
62/688

11

 悪魔の幽霊は美姫さんと僕を見比べながら、悠然と佇んでいる。


(さぁ、どちらから遊んでやろうか。)

(それはワレの台詞じゃ。)

(ハッハッハー。面白いことを言うじゃないか。では、まずはお嬢さんと遊ぶとするか。)

(来るがよいのじゃ。)


 美姫さんの体を借りたのであろうエレナ様と悪魔の幽霊との攻防が始まった。


 パシッ!パシッ!パシッ!


(ハッハッハー。どうだ?)

(なんとも軽い攻撃じゃのう。まるでそよ風のようじゃ。)

(なんだと!これならどうだ?)


 パシッ!パシッ!パシッ!


 エレナ様の言う通り動かないで見ているが、凡人である僕には動きが早すぎて何のことやらさっぱり分からない。


(先程と何か変わったのかのう?)

(くそっ!まぁいい。今までのは準備運動だ。これからは本気でいかせてもらう。)


(ザグレド、それはまずい。ここが壊れる。)

(いいじゃねぇか。楽しめるときに楽しんでおかなきゃ損、てもんだ。)


(どうでもよいが、早くしてくれんかのう。ワレは待ちくたびれたのじゃ。)

(ほう。その余裕どこまで持つかな?いくぞ。)

(来るがよいのじゃ。)


 パシッ!パシッ!ドンッ!ドンッ!


 エレナ様と悪魔の攻防を見ていると何故か少し気分が悪くなってきた。


(ハッハッハー。防ぐばかりではオレを倒せないぞ。)

(お主が本気になるのを待っておるのじゃが、もしかしてこれが本気というやつかのう?)

(なんだと!)

(それに先程から近接戦闘に切り替えてワレの精神エネルギーを奪おうとしているようじゃが、もうエネルギー切れ間近かのう?)

(ちっ、鋭いじゃないか。)

(そんなバレバレの行動をしておったら、誰でも気が付くと思うがのう。)


 ドンッ!ドンッ!ドンッ!


 魔法戦から近接戦に映ったのは僕にもなんとなく分かった。


(しかし、生身の肉体を操っているにもかかわらず、余力が乏しいとはいえ精神エネルギー体であるオレと対等に戦えるとは、貴様は何者だ?)

(まだワレのことに気が付かんのかのう?)

(何のことだ?)

(分からんのならこれ以上は無意味じゃから、そろそろこちらからいかせてもらうとするかのう。)

(そうはさせな――――)


 バシッ!バシッ!バシッ!


 攻守が逆転したようだ。


(どうじゃ?)

(なんだ、この重い攻撃は!?)

(そうかのう?まだまだ序の口じゃ。)


 バシッ!バシッ!バシッ!


(ぐっ!防壁が次々に破られていく、、、)

(この程度で破られる薄っぺらい防壁など、無いに等しいのじゃ。)

(なんだと!しかし、これでは精神エネルギーが長くは持たない。)


 バシッ!バシッ!バシッ!


 徐々に悪魔の幽霊が透ける速度が上がっていく。


(もう降参したらどうじゃ?)

(これ程の差があるとは、、、貴様はオレよりも上位の魔族との融合者だったのか。初見ではそんな感じは受けなかったんだが。)

(そうではないことも分からんとはのう。情けないのう。)

(何?もしかして貴様、まさか竜族か!)


 バシッ!バシッ!バシッ!


 さらに悪魔の幽霊が透け具合がひどくなっていく。


(その透け具合から見ると、すぐに限界が訪れるのではないかのう?)


(くそっ!)

(もう限界だ。ザグレド、距離をとれ。ワシらは騙されたんだ。)

(あの少年の精神エネルギーが多かったのは、オレたちを誘い出すための罠だったのか。)

(そういうことだ。)

(止むを得まい。)


 悪魔の幽霊がいったん僕たちと距離をとったので、エレナ様に声をかける。


(エレナ様、大丈夫ですか?)

(大丈夫に決まっておるのじゃ。あのような奴に不覚をとるワレではないのじゃ。)

(いや、美姫さんの体のことを聞いたんですが?)

(やつらが結界を張ったと言っておったじゃろう。そのおかげで、ワレも気にせず防壁を何重にもはれたから美姫の体には傷一つついておらんのじゃ。)

(良かった。)

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